セッション情報 シンポジウム1 「消化管疾患における画像診断の進歩」

タイトル

AFIによる大腸上皮性腫瘍の組織学的および分子生物学的特徴の予測

演者 盛一 健太郎(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野)
共同演者 藤谷 幹浩(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 高後 裕(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野)
抄録 【背景と目的】近年,従来の白色光内視鏡に加えて、狭帯域内視鏡(NBI)や自家蛍光内視鏡(AFI)などの画像強調内視鏡(IEE)が臨床応用されるようになった.しかし,その有用性については一定の見解が得られていない.本検討では,大腸上皮性腫瘍に対するAFIの有用性について明らかにする.【方法】当院でAFIによる観察が行われ,組織が得られた大腸上皮性腫瘍を対象として以下の検討を行った.1)大腸上皮性病変108例(過形成性ポリープ15例,腺腫72例,早期癌21例)と正常大腸粘膜72例を対象として,AFIによる腫瘍・非腫瘍の鑑別診断能を検討した.AFI画像の蛍光強度を色度解析ソフトにて数値化(自家蛍光/反射光Fluorescence index; FI)して評価した.2)大腸上皮性病変58症例(過形成性ポリープ5例,腺腫27例,早期癌26例)を対象に組織所見(腫瘍腺管密度,腫瘍細胞密度,NC比,炎症細胞密)とFI値の関係について検討した.3)検討2)の症例を対象にki-67を用いた細胞増殖能および,大腸癌関連遺伝子(APCE-cadherinp16Runx3hMLH1)のメチル化異常,p53発現とFI値の関係について検討した.【成績】1)組織型別のFI 値は正常が1.12±0.30,過形成ポリープ0.81±0.20,腺腫0.61±0.16,癌0.52±0.11と各群間で有意差を認めた(p<0.005,p<0.01,p<0.05).肉眼型,腫瘍径,深達度はFI値と有意な相関を認めなかった.2)組織学的所見とFI値の検討ではNC比のみがFI値と有意な相関を認めた(p<0.05). 検討3)Ki-67,p53はいずれも陽性群で有意(p<0.0001,p<0.05)にFIが低かった.遺伝子メチル化の検討ではp16の異常メチル化を認めた群で有意(p<0.05)にFIが低かったがその他の遺伝子では有意差を認めなかった.【結論】AFIは蛍光強度を数値化することによって,大腸上皮性腫瘍の組織型を客観的に予測することが可能である.腫瘍細胞のNC比の増加,Ki-67発現増加,p53過剰発現およびp16の異常メチル化とFI値の低下が有意に相関することから,細胞異型や腫瘍増殖能を反映することが示唆された.
索引用語 AFI, 大腸腫瘍