セッション情報 一般演題

タイトル

胃癌と胃原発悪性リンパ腫が併存した1例

演者 出水 孝章(市立稚内病院 内科)
共同演者 長島 一哲(市立稚内病院 内科), 佐野 逸紀(市立稚内病院 内科), 中積 宏之(市立稚内病院 内科), 羽田 政平(市立稚内病院 内科), 国枝 保幸(市立稚内病院 内科)
抄録 症例は67歳の女性。2010年12月末に空腹時心窩部痛を主訴に近医を受診。上部消化管内視鏡検査を施行され、胃体下部2か所に2型腫瘍、胃体上部後壁に0-IIc病変を認めた。組織生検にて前者Group1、後者Group5 tub1の結果であり精査目的に当科紹介受診となった。当科にて上部内視鏡検査及び組織生検を再度施行したところ胃体下部の2型腫瘍よりCD20陽性、CD3陰性、Keratin陰性のB細胞悪性リンパ腫となった。0-IIc病変の生検結果はNo malignancyであった。CT検査では肝S3、S6/7に5mm大のLDA及び#3aリンパ節の腫大を認めた。胃癌 cStage IA U,0-IIc,T1,N0,M0、胃悪性リンパ腫 Lugano分類II-1と診断。肝腫瘍についてEOB-MRI施行したが確定的な診断がつかず胃癌の肝転移の可能性も否定できなかった。十分なインフォームドコンセントの後胃全摘出及び肝S3腫瘍の術中RFAの方針となり2011年2月2日当院外科にて胃全摘術、リンパ節廓精、胆嚢摘出術、脾臓摘出術、肝S3RFA施行となった。切除標本の病理組織学的検索では胃体上部後壁の0-IIc病変は胃癌 tub1-por1,pT1a(M),ly0,v0 pStageIA、胃体下部の2型腫瘍はびまん性B細胞リンパ腫 LuganoIの結果であった。肝腫瘍は胃癌転移の可能性も否定できないものの経過観察とし悪性リンパ腫に対して追加の化学療法を施行する方針とった。2011年2月にPET施行したが病的集積を認めず、骨髄穿刺でも腫瘍細胞の浸潤を認めなかった。同年3月よりR-CHOP療法を6コース施行。その後のPET-CT、CT検査ではCRの判定となっている。胃に癌腫と悪性リンパ腫が併存することは非常にまれであり若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胃癌, 悪性リンパ腫