セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル

糖尿病患者に発症した腸管嚢胞状気腫症の1例

演者 永縄 由美子(市立室蘭総合病院 消化器内科)
共同演者 清水 晴夫(市立室蘭総合病院 消化器内科), 飯田 智哉(市立室蘭総合病院 消化器内科), 佐々木 基(市立室蘭総合病院 消化器内科), 石上 敬介(市立室蘭総合病院 消化器内科), 中垣 卓(市立室蘭総合病院 消化器内科), 佐藤 修司(市立室蘭総合病院 消化器内科), 金戸 宏行(市立室蘭総合病院 消化器内科)
抄録 【症例】77歳 女性【主訴】腹部不快感【現病歴】糖尿病に対しα-グルコシダーゼ阻害薬を内服中。2011年4月頃より腹部膨満感、軟便、排便後の残便感などが出現。近医受診し下部消化管内視鏡検査が施行されたところ、S状結腸に粘膜下嚢胞状の多発する隆起性病変が認められたため精査目的で当科を受診した。当科での下部消化管内視鏡検査でもS状結腸に多発する隆起性病変を認め、また、造影CTでもS状結腸に限局した腸管壁内に特徴的な気腫像を認めた。肺気腫等の基礎疾患は認められず、糖尿病に対して内服継続していたα-グルコシダーゼ阻害薬が原因薬剤として考えられたため内服を中止したところ、腹部症状は著明に改善しその後の定期検査でも特に症状の増悪は認めていない。【考察】腸管嚢胞状気腫症の貴重な一例を経験した。腸管嚢胞状気腫症は腸管壁の粘膜下または漿膜下に多房性あるいは直線状の含気性嚢胞を形成する比較的まれな疾患である。発症機序としてはいくつか考えられているが、腸管内圧の上昇により腸管壁内にガス貯留を来す場合、ガス産生菌が腸管粘膜を通過し腸管壁内でガスを産生する場合、化学薬品への曝露による場合などが考えられる。また、肺気腫などの肺疾患により肺胞が損傷し漏れた空気が縦隔・後腹膜を経由して腸間膜・腸管壁に達して気腫を形成する場合、α-グルコシダーゼ阻害薬、ステロイド剤などの薬剤内服による場合なども原因として考えられている。今回の症例では呼吸器の基礎疾患はなく、糖尿病に対するα-グルコシダーゼ阻害薬の内服を中止したことによって症状改善が見られたことから、薬剤性の腸管嚢胞状気腫症であったと考えられ、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 腸管嚢胞状気腫症, α-グルコシダーゼ阻害薬