セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 術前化学療法が奏功し治癒切除となった進行胃癌の1例 |
演者 | 馬場 英(北海道社会保険病院 消化器センター) |
共同演者 | 古家 乾(北海道社会保険病院 消化器センター), 小泉 忠志(北海道社会保険病院 消化器センター), 定岡 邦昌(北海道社会保険病院 消化器センター), 関谷 千尋(北海道社会保険病院 消化器センター), 市川 伸樹(北海道社会保険病院 消化器センター), 脇坂 和貴(北海道社会保険病院 消化器センター), 中西 一彰(北海道社会保険病院 消化器センター), 数井 啓蔵(北海道社会保険病院 消化器センター), 服部 淳夫(北海道社会保険病院 病理部) |
抄録 | 症例は60歳代男性。2012年10月に前医より貧血精査目的に上部消化管内視鏡検査を行ったところ、胃癌を認め精査加療目的に当院紹介となった。上部消化管内視鏡検査では噴門部直下から胃角部後壁にかけて3型腫瘍を認め、生検より低分化腺癌が検出された。CTでは局所の進達度はSE、大動脈周囲のリンパ節腫大を複数みとめN3と判断した。遠隔転移は認めなかった。以上からT4aN3M0stageIIICの胃癌と診断した。リンパ節因子より治癒切除は不能と判断し、術前化学療法を行いリンパ節因子が改善すれば外科治療を施行する方針とした。生検標本の免疫染色ではHAR2は陰性であったため、CDDP+TS-1にて2012年10月より化学療法を開始した。CDDP+TS-1にて5コース化学療法を施行した後の上部消化管内視鏡検査では腫瘍はやや縮小するものの化学療法前の内視鏡所見と大きな変化は認めなかった。CTでは大動脈周囲のリンパ節の縮小を認め、PET-CTでも同リンパ節の取り込みは認めなかった。以上の結果より治癒切除可能と判断し、2013年4月に胃全摘D2+#16a2+b1郭清、脾摘、胆摘、左副腎切除を施行した。手術標本の病理所見では原発巣は中分化から低分化腺癌の増殖をみとめ、化学療法の効果はGrade0-1aと判断した。リンパ節に関しては#3と#16a2に硝子変性、組織球浸潤を認めるリンパ節が認められ、化学療法の効果はGrade3と判断した。最終病理評価としてはT3N0M0stageIIAで治癒切除となった。術前化学療法では効果発現が早く奏功率の高いレジメンが必要とされ、CDDPとTS-1を用いた検討で良好な成績が報告されている。また術前化学療法の意義としては腫瘍局所における血管構築が破壊されていないため、腫瘍への抗がん剤の到達が良好、PSが術後より良好なため、薬剤強度が高い抗がん剤の選択が可能、切除標本を用いて化学療法の効果を組織学的に評価できるといった点があげられる。今回術前化学療法が奏功し治癒切除となった進行胃癌の1例を経験したので報告する。 |
索引用語 | 胃癌, 術前化学療法 |