抄録 |
【目的】CTとMRで単純、早期動脈相、後期(細胞相)ともlowの所見を呈してから13年目に多血性のHCCに到った1症例を経験したので報告する。【症例】症例は76歳、男性。C型慢性肝炎,1型高RNA症例。1988年(51歳)に肝癌健診でS4区域に直径6cm大のHCCを発見され4回の肝動脈塞栓術でCRに至り、以後C型肝炎に対し、IFNのαとβで2回の治療を受けているが効果はNRであり肝機能は軽度変動。HCCのフォローの為に定期的な画像診断を行う。2012年11月のS8部分切除では20×18mmのStageAのHCCで単結節型で辺縁部では2つの結節1と2にわかれているように見える。脈管浸潤はなく、組織ではModerately、一部Wellを示した。【画像診断の経過】CTでは1.999年にS8辺縁表面に直径10×5mmの表面側が広いデルタ状の早期、後期相 ともLowの1のSOLを認め、2001年からはそれに近接して10×5mmの結節様陰影2のSOLも観察された。SOLは2ケとも徐々にサイズが拡大し。2008年には15mm、2012年で20mmに至る。USでは2001年に14×10mmの血管腫を疑う均一な高エコー像1ケとして認めたが、徐々に増大し、2007年には20mmとなりました。経過中に3回のソナゾイドUSでは早期濃染も細胞相欠損も認めなかった。MRIの1Tでは2001年よりT1Wがlow、T2WがisoからFaint highで推移していたが、2010年の1.5TのMRIでT1W out phaseでのSuppressionが確認され、2011年にT2Wから部分的にfaint highになり徐々に拡大、2012年7月にDWIでHighとなり、Dynamicの動脈相で5mmのNodule in noduleの早期濃染を示しました。CEUS、CTでの多血性確認はMRIとほぼ同時期でした。基礎肝病変はF1、A1の慢性肝炎。腫瘍マーカーはAFPが6.8、PIVKA-2は24。【考案】CTやMRIでdelay lowを示す病変についてガイドラインでは10~20mmの結節は造影エコーもしくはCTAPでの血流確認の確認もしくは狙撃生検でHCCの確診としています。この症例はサイズの拡大は緩徐であり、USで高エコーでもあり造影エコーでもCTとMRIと同時期にしか血流を観察し得なかった。CTとMRでPlainとEarly、Delayとも10mmのlow結節出現から多段階発がんの経過を経てHCCに到る13年間の長期の画像診断を観察した症例として報告する。 |