セッション情報 一般演題

タイトル

カプセル内視鏡が診断に寄与した小腸アニサキス症の一例

演者 和賀 永里子(小樽掖済会病院消化器病センター)
共同演者 小松 悠弥(小樽掖済会病院消化器病センター), 北岡 慶介(小樽掖済会病院消化器病センター), 藤田 朋紀(小樽掖済会病院消化器病センター), 勝木 伸一(小樽掖済会病院消化器病センター), 高梨 訓博(札幌医科大学第四内科)
抄録  カプセル内視鏡(以下CE)は非侵襲的に消化管粘膜の観察が可能で,小腸疾患の診断に有用な検査法である.今回我々は,CEにて小腸内のアニサキス虫体を確認し,診断に寄与した一例を経験したので報告する.
症例は67歳,男性.平成25年3月下旬から続く腹痛のためかかりつけ医を受診し,消化管精査目的に紹介となった.4月2日に上部,下部消化管内視鏡を施行したが異常を認めなかった.腹痛が継続するため腹部CTを施行したところ回腸の一部に全周性壁肥厚および中等量の腹水貯留を認めた.小腸病変を疑いカプセル内視鏡を施行した所,回腸内に糸状で白色の虫体を認めた.経肛門ダブルバルーン小腸内視鏡を施行したが,小腸癒着のため深部挿入できず,虫体の除去はできなかった.虫体の確認はできなかった,、問診にて症状出現前にソイの刺身を食したこと,、採血にてアニサキスIgG,A抗体陽性,好酸球増多を認めたため,小腸アニサキス症と診断した.絶食,補液管理の保存的治療にて腹痛は徐々に軽快した.症状軽快後に施行したCTでは回腸の壁肥厚および腹水は消失し退院となった.
小腸アニサキスは比較的稀な症例で早期診断困難なことが多いが,腹部CT,腹部エコーなどが有用とされている.本症例では腹部CTにて異常を認めた後CEを行うことにより小腸アニサキ症の診断が比較的早期にできた.イレウスの合併例もあるため適応は慎重に判断する必要はあるが,小腸アニサキス症の診断にCEは有用であると考えられた. 
索引用語 小腸アニサキス, カプセル内視鏡