セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル

クローン病における顆粒球吸着療法の有効性と効果予測因子に関する検討

演者 鬼頭 健一(札幌厚生病院 IBDセンター)
共同演者 田中 浩紀(札幌厚生病院 IBDセンター), 那須野 正尚(札幌厚生病院 IBDセンター), 本谷 聡(札幌厚生病院 IBDセンター), 今村 哲理(札幌厚生病院 IBDセンター)
抄録 【背景と目的】顆粒球吸着療法(Granulocyte-monocyte adsorptive apheresis; GMA)はクローン病(CD)に対する有用な治療選択肢のひとつであるが,インフリキシマブ(IFX)抵抗例に対するGMAの有効性やGMAが著効する症例の特徴は明らかにされていない.今回我々は,CDにおけるGMAの有効性と効果予測因子について検索した.【対象と方法】2002年10月から2012年8月の間に当院にてGMAが施行されたCD 39例を対象とした.GMA 1回目,3回目,10回目施行時(または中止時)のCDAIを評価し,CDAI変化量を検討した.また,CDAI 150未満となった症例を寛解,CDAI が70以上減少した症例を有効と定義し,10回目施行時における寛解率および有効率を検討した(中止例は無効とした).さらに,寛解率・有効率に影響を与える患者背景を単変量解析により比較検討した.【結果】患者背景は,男性 19例・女性 20例,平均年齢 29.5歳,平均罹病期間 9.4年,小大腸型 29例・大腸型 9例・小腸型 1例,平均CDAI 295.2,平均GMA施行回数 8.9回(4-10回),腸管手術歴 18例であった.28例が抗TNF-α抗体製剤抵抗例であり,20例がIFX二次無効,5例がIFXとアダリムマブ(ADA)の2剤で二次無効,3例がIFX不耐であった.IFXおよびADAいずれも未使用であった症例は11例であった.GMA 3回目施行後,CDAIは295.2(1回目)から236.1(3回目)へ有意に低下を認めた(P<0.001).GMA 10回目施行時の寛解率は25.6%(10/39),有効率は61.5%(24/39)であった.単変量解析においては,寛解例で平均CDAIが有意に低値であり(寛解例 262.8 vs 非寛解例 306.4; P=0.046),IFX/ADA未使用例で寛解率が有意に良好であった(IFX/ADA未使用例 54.5% vs IFX/ADA抵抗/不耐例 14.3%; P=0.017).一方,有効率に影響する患者背景は認められなかった.【結論】CDに対するGMAの有効性は3回目施行時において評価可能であり,有効率は61.5%と患者背景に関わらず良好であった.一方,寛解率は25.6%と良好とは言い難い成績であったが,比較的活動性の低いIFX/ADA未使用例を対象とすることでより高い寛解率が得られる可能性が示唆された.
索引用語 クローン病, 顆粒球吸着療法