セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル

mFOLFOX6 + Bevacizumab療法が著効した多発肝転移を有する胃癌・大腸癌の一例

演者 大原 正嗣(北見赤十字病院 消化器内科)
共同演者 岩永 一郎(北見赤十字病院 消化器内科), 杉浦 諒(北見赤十字病院 消化器内科), 宮本 秀一(北見赤十字病院 消化器内科), 水島 健(北見赤十字病院 消化器内科), 江平 宣起(北見赤十字病院 消化器内科), 上林 実(北見赤十字病院 消化器内科)
抄録 重複癌としての大腸癌・胃癌を有する症例はしばしば経験される.しかし,多発肝転移を有する大腸癌・胃癌の症例において,大腸癌に準じた化学療法を施行し,多発肝転移・胃癌の縮小・消失が認められたという報告は少ない.今回,我々は,多発肝転移を有する大腸癌(cStageIV; SS,N1,H1),胃癌(cStageIIA ; T2,N1,M0)に対してmFOLFOX6 + Bevacizumab(BV)療法が著効した一例を経験した.症例は,70代男性.2012年3月26日に胃前庭部前壁の2型腫瘍の精査加療目的に当院紹介.スクリーニングの下部内視鏡検査で上行結腸に半周性の2型腫瘍を認めた.全身CTでは多発肝転移の他,胃周囲及び上行結腸周囲にリンパ節の腫大を認めた.多発肝転移の原発巣に関しては,腫瘍サイズなどを考慮して大腸癌由来と判断し,胃癌の合併例と診断した.4月9日に化学療法導入目的に当科入院となった.以後,4月11日よりmFOLFOX6 + BV療法を開始した.11コース目で,末梢神経障害がGrade 2に達したため,オキサリプラチンを終了しsLV5FU2 + BV療法として治療を継続した.治療を中断する程の重篤な有害事象は認めず,抗腫瘍効果としてはPRであった.25コース終了後の2013年4月22日に施行した上部内視鏡検査では,治療開始時に認めた病変はすでに瘢痕化しており,生検検体で悪性所見を認めなかった.また同時期の評価CTでは,多発肝転移は消失しておりCRと判断した.追加で下部内視鏡検査も実施し,肉眼的に腫瘍の縮小を認めた.現在,原発切除を検討中である.胃癌に対しても,オキサリプラチンベースのレジメンが有効であったと考えられる症例である.大腸癌,多発肝転移に胃癌を合併した症例に,mFOLFOX6 + BV療法を施行し,多発肝転移・胃癌がCRに達した稀な症例を経験したので,報告する.
索引用語 大腸癌, 化学療法