セッション情報 一般演題

タイトル

EUS-FNAが適切な治療選択に寄与した肺癌リンパ節転移の1例

演者 羽場 真(NTT東日本札幌病院 消化器内科)
共同演者 吉井 新二(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 川本 泰之(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 清水 佐知子(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 横山 朗子(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 赤倉 伸亮(NTT東日本札幌病院 消化器内科)
抄録 症例は62歳,女性.2012年1月,咳嗽を主訴に当院呼吸器内科を受診し,胸部X線で異常影を指摘された.経気管支肺生検で腺癌 (TTF-1陽性) を認め,原発性肺腺癌 (Stage IIIB) の診断で化学放射線療法を施行された.2013年4月のCTで腹部リンパ節の腫大を認め,PET-CTでは同部と胆嚢底部への集積亢進を認めたため,精査目的に当科紹介となった.血液検査では肺癌治療前に異常高値であったCYFRAは正常範囲内であり,CEA,CA19-9も正常であった.胸腹部CT検査で右肺上葉に腫瘤を認めたが治療前に比較して縮小しており,頚部・縦隔リンパ節も縮小していた.一方で門脈本幹背側に淡い造影増強効果を伴うリンパ節腫大がみられた.胆嚢底部には粘膜側に造影効果の増強を示す限局性の壁肥厚を認めたが,過去の画像と比較して明らかな変化はみられなかった.腫大した門脈背側のリンパ節が炎症性腫大かリンパ節転移か,リンパ節転移であれば原発臓器は肺か他臓器かの鑑別が治療方針に影響を及ぼすと考え,腫大リンパ節に対する超音波内視鏡下穿刺吸引法 (EUS-FNA) による組織採取を試みた.十二指腸球部からの観察で腫大したリンパ節は不整球形を呈し内部は不均一なエコーパターンを示した. 22G穿刺針 (Expect,Boston Scientific) で3回の穿刺を行って組織を採取した.胆嚢底部病変はなだらかな立ち上がりを呈する限局性壁肥厚を呈し,RAS拡張の所見を伴うこと,病変深部低エコーや外側高エコー層の菲薄化,断裂といった所見を認めず,胆嚢腺筋腫症と考えられた.病理組織結果では,リンパ節穿刺検体において辺縁不整な大型異型核と好酸性細胞質を有する腫瘍細胞の集塊がみられ,免疫組織化学染色においてAE1/AE3陽性,CAM5.2陽性,TTF-1陽性,CDX-2陰性を認めたことから,肺腺癌の転移と考えられた.呼吸器内科に転科し,薬剤を変更して化学療法を継続中である.
索引用語 EUS-FNA, リンパ節転移