セッション情報 一般演題

タイトル

NBI拡大観察にて癌併存を指摘しえた胃過形成性ポリープの1例

演者 安部 智之(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科)
共同演者 藤井 重之(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 山田 充子(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 櫻井 環(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 黒田 裕行(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 前田 征洋(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 藤田 美悧(製鉄記念室蘭病院 病理臨床検査室), 松野 鉄平(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 佐藤 昌則(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 定免 渉(札幌医科大学 腫瘍・血液内科)
抄録  NBI併用拡大観察にて癌併存を指摘しえた胃過形成性ポリープの1例を経験した。 症例は72歳、男性。近医にてスクリーニング目的に施行された上部消化管内視鏡検査にて噴門直下にポリープを認めた。同医にて2年前にも上部消化管内視鏡検査を施行されており、その際には病変を認めなかったことから、増大傾向のあるポリープということで内視鏡治療を含めた精査加療目的に2011年11月に当科紹介となった。上部消化管内視鏡所見では、噴門直下小弯に径20mm弱のY-IIIポリープを認めた。NBI拡大観察では、ポリープの表面の大部分は白苔が付着し血管が透見できない状態であったが、基部の一部に蛇行した不整な微小血管を認め、胃癌の可能性を考慮した。また、ポリープの白色粘膜の一部が基部を超え、口側へ拡がっていることも観察できたため、一括切除による病理学的診断が必要と判断し、内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)を行った。病理結果は、Adenocarcinoma, tub1 arising from hyperplastic polyp, ly(-), v(-), pHM0, pVM0 であった。胃の過形成ポリープは基本的には非腫瘍性病変と考えられているが、径10mm以上になると1~3%で癌の併存を認め、ポリープの径が大きくなるほど、癌併存率が高くなるといわれている。しかし、これを通常内視鏡所見で評価するのは困難で、生検を用いても不十分とされている(Daibo M, Am J Gastroenterol)。NBI併用拡大内視鏡で癌の併存を観察しえた報告は少なく、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 過形成ポリープ, NBI