セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 内視鏡切除がされた十二指腸上皮性腫瘍の臨床的特徴 |
演者 | 大野 正芳(北海道大学 消化器内科) |
共同演者 | 大森 沙織(北海道大学 消化器内科), 鈴木 美櫻(北海道大学 消化器内科), 高橋 正和(北海道大学 消化器内科), 清水 勇一(北海道大学 消化器内科), 小野 尚子(同光学医療診療部), 間部 克裕(同光学医療診療部), 加藤 元嗣(同光学医療診療部), 山本 純司(太黒胃腸科), 中川 学(中川胃腸科), 中川 宗一(中川胃腸科), 坂本 直哉(北海道大学 消化器内科) |
抄録 | 【目的】十二指腸の腫瘍性病変は報告例が増加しているが、内視鏡や生検による腺腫と癌の鑑別診断は困難とされている。今回我々は、十二指腸上皮性腫瘍に対し内視鏡治療を施行した症例を対象に、癌、腺腫それぞれの内視鏡的特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】2009年4月~2012年5月まで当院で十二指腸上皮性腫瘍に対し内視鏡治療を施行した症例を検討した。【結果】対象症例は12例(男性:女性=7:5)、平均年齢60.1歳(38~76歳)であった。治療法はEMR10例、hybrid ESD2例であり、術後はクリップによる縫縮を施行した。術中、術後の合併症は認められなかった。平均腫瘍径は11.1mm(4~18mm)、12例中9例が下行脚に認められ、形態は平坦な隆起性病変が7例、亜有茎性の病変が2例、有茎性の病変が3例であった。また10例で絨毛の白色化を認めた。最終病理診断は腺腫9例、癌1例、過形成性ポリープ1例、評価不能が1例であったが、術前の内視鏡診断、生検診断の結果と乖離していた。腫瘍の大きさは腺腫の平均が11.0mmに対し、癌は18mmで大きい傾向があった。腺腫9例中8例が絨毛の白色化を認めたが、癌症例の1例は白色化を認めず、肉眼形態としては腺腫9例中、平坦な隆起性病変が5例、亜有茎性2例、有茎性2例に対し、癌症例は有茎性であった。拡大観察では、癌は表面微細構造の異常を認めたが、腺腫においても表面微細構造の異常を4例、微小血管構造の異常を1例認めた。術前の生検結果で癌疑いだった2例は腺腫で、最終病理診断が癌であった1例の術前生検結果は、高異形度腺腫であった。【結論】腺腫と癌の腫瘍径、形態、表面微細構造の異常での鑑別が有用との報告例も散見されるが、今回の検討では術前の鑑別が難しく、診断目的での内視鏡的切除が必要であった。しかし治療に伴うリスクも小さくなく、今後さらなる症例の蓄積を行い、癌、腺腫の内視鏡診断、病理診断を確立する必要がある。 |
索引用語 | 十二指腸上皮性腫瘍, 内視鏡診断 |