セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル

内視鏡的粘膜下層剥離術にて一括切除し得た巨大平滑筋腫の一例

演者 嘉成 悠介(札幌医科大学 腫瘍・血液内科)
共同演者 佐藤 康史(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 平川 昌宏(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 大沼 啓之(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 二階堂 ともみ(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 大須賀 崇裕(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 櫻田 晃(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 井畑 壮司(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 林 毅(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 佐藤 勉(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 宮西 浩嗣(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 瀧本 理修(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 小船 雅義(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 加藤 淳二(札幌医科大学 腫瘍・血液内科)
抄録 食道平滑筋腫は良性の非上皮性腫瘍であるが、経過中に増大傾向を示す症例や何らかの自覚症状を呈する例、悪性を否定できない症例などは治療適応とされている。食道平滑筋腫に対する内視鏡的切除例の報告は散見されるが、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)による切除の報告は少ない。今回、我々はESDにて一括切除し得た巨大食道平滑筋腫の1例を経験したので報告する。【症例】40歳代、男性。食道のつかえを主訴に近医を受診。上部消化管内視鏡検査で食道に粘膜下腫瘍を認め、精査加療目的に当科紹介となった。上部消化管内視鏡検査では食道胃接合部に35mm大の中心陥凹を伴う病変を認め、食道は軽度の狭窄を呈していた。超音波内視鏡検査(EUS)では病変は境界明瞭、内部均一な低エコー腫瘤であり、また粘膜筋板由来と考えられた。同病変に施行した超音波内視鏡下吸引術(EUS-FNA)では平滑筋腫を疑われた。自覚症状を有し、病変の中心に陥凹を伴うなど悪性を否定できない所見も認め、治療適応と考えられた。EUS上、粘膜下層は保たれ、内視鏡治療が可能と考えられたが、病変のサイズが大きく、食道胃接合部から噴門部にまで及ぶ病変であり、内視鏡的粘膜切除術(EMR)は困難と考え、切除法としてESDを選択した。術中、特記すべき偶発症なく、一括切除した。切除検体の病理所見では好酸性の豊富な胞体をもつ紡錘形細胞がまばらに増殖し、核分裂は殆ど認められず、免疫染色ではvimentin、desmin、αSMA陽性、KIT、CD34、S-100、KCTD12陰性であり、平滑筋腫に矛盾しない所見であった。術後経過良好でESD後第7病日に退院となった。【考察】これまで、食道平滑筋腫の内視鏡的切除例の報告は概ね2cm以下の病変であり、巨大病変ではEMRは困難と考えられる。巨大平滑筋腫をESDにて切除した報告は少ないものの、開胸もしくは胸腔鏡下手術に比べ、低侵襲であり、選択肢の一つとなり得るものと考えられた。
索引用語 平滑筋腫, ESD