セッション情報 シンポジウム2 「肝胆膵疾患における画像診断の進歩」

タイトル

肝腫瘍の診断・治療におけるCT・MRI fusion造影超音波の有用性

演者 鈴木 康秋(名寄市立総合病院 消化器内科)
共同演者 井尻 学見(名寄市立総合病院 消化器内科), 芹川 真哉(名寄市立総合病院 消化器内科), 杉山 祥晃(名寄市立総合病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】近年、磁気センサー搭載超音波装置を用い、CTやMRIなどの他画像との統合技術による肝腫瘍の診断・治療支援が可能となった。我々は、1,慢性肝疾患患者の肝細胞癌(HCC)スクリーニングCTで指摘された腫瘍性病変の精査、2,消化器悪性腫瘍患者の肝転移スクリーニングCTで指摘された径10mm以下の小腫瘍性病変の鑑別診断、3,CT・MRIで指摘されるも超音波で同定不可能なHCCのRFA治療支援、にCT・MRI fusion下で造影超音波を施行している。今回、これら肝腫瘍の診断・治療におけるCT・MRI fusion造影超音波(fusion CEUS)の有用性について報告する。【結果】1,HCCスクリーニングCTで指摘された腫瘍性病変の精査:対象は慢性肝疾患患者26例31結節(平均径15mm)。CTにてHCC確診5結節は全例fusion CEUSでもHCCと診断された。HCC疑診14結節は、fusion CEUSにてHCC (1)、血管腫 (5)、AP shunt (7)、異型結節 (1)と診断された。血管腫と診断された9結節は、fusion CEUSにて血管腫 (8)、AP shunt (1) と診断された。その他の3結節(異型結節、限局性非脂肪化)はfusion CEUSも同診断であった。2,消化器悪性腫瘍患者の肝転移スクリーニングCTで指摘された径10mm以下の小腫瘍性病変の鑑別診断:対象は消化器悪性腫瘍患者14例(大腸7、胃4、膵臓2,食道1)47結節(平均径7mm)。fusion CEUSによる確定診断は肝嚢胞40、血管腫2、偽病変5結節であった。肝嚢胞はfusion CEUSにより無エコーで描出され、血管腫はfusion CEUSの造影パターンより診断され、また偽病変はfusion CEUS の後血管相で欠損しないことより肝転移を否定できた。さらに、4結節がCTで指摘されずfusion CEUSで新たに同定され、うち1結節は肝転移であった。3,CT・MRI fusion CEUS下RFA:対象はCT・MRIで指摘されるも超音波で同定不可能なHCC 3症例4結節(平均径11mm)。fusion CEUSの後血管相で腫瘍をdefectとして同定後にRFAを施行し、全例CRを得た。【結語】CT・MRI fusion造影超音波は、HCCや肝転移を疑う小病変の鑑別診断や、B mode超音波で同定困難な小型HCCのRFA治療支援に有用である。
索引用語 肝腫瘍, fusion CEUS