セッション情報 一般演題

タイトル

繰り返す胃前庭部血管拡張(GAVE)からの出血に対し左右胃動脈塞栓術および部分脾動脈塞栓術が有効であった高齢者肝硬変の1例

演者 高橋 稔(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科)
共同演者 秋山 剛英(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科), 田中 信悟(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科DELIMITER札幌医大 第4内科), 大井 雅夫(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科), 土井 忠(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科), 女澤 慎一(札幌共立医院), 宮西 浩嗣(札幌医大 第4内科), 森井 一裕(札幌共立五輪橋病院 血液腫瘍内科緩和医療センター), 平田 健一郎(同 健診センター), 竹内 幹也(同 消化器病センター外科), 古川 勝久(札幌共立五輪橋病院 血液腫瘍内科緩和医療センター), 本間 久登(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科DELIMITER札幌医大 第4内科)
抄録 症例は82歳女性。平成9年頃より近医にてC型肝硬変に対して加療中であった。平成20年頃より貧血を指摘される様になり上部内視鏡検査にて胃前庭部血管拡張(GAVE)および食道静脈瘤を認め前者に対してはAPC、後者に対してはEVLおよびEISを施行されていた。以後、これらに対して約2年間に3度のAPCおよびEIS/EVLを施行されている。また経過中、数度輸血を施行されていた。平成22年9月精査加療希望され当院受診。来院時、Hb6.6g/dlと著明な貧血を認め心拍数は45/分程度で心房細動(Af)であり同日入院となった。上・下部内視鏡検査にてGAVEおよび食道静脈瘤(CBRC+LmF1-2Lg-)を認め貧血の主な原因としては前者と考えられた。治療方針として緊急性を考慮し、輸血後、AfはBradycardia Tachycardia 状態であり3秒程度のpauseも認められたためまずペースメーカー植え込み術(PMI)を施行した。その後、本症例は高齢者で既に繰り返し、GAVEが再発していることおよびPMIを施行されていることからAPCは選択せず、肝硬変を合併し食道静脈瘤も合併していることから、GAVEの成因は現在も必ずしも明らかではないが胃前庭部のうっ血が関与している可能性を考え左右胃動脈塞栓術(TAE)ならびにHSEを施行し、経過を見て部分脾動脈塞栓術(PSE)を施行することとした。TAE後GAVEは退色調となった。その後、HSEを追加した。食道静脈瘤に対してはEVL/EISを追加した。一旦退院の後、約3ヶ月後PSEを施行した。加療から約3年経過するがGAVEならびに食道静脈瘤の再発は認めず輸血も以後施行していない。GAVEに対する治療の第一選択はAPCであるが同療法に抵抗性の症例に対してはTAEの適応も考慮すべきと考えられた。
索引用語 GAVE, TAE