セッション情報 一般演題

タイトル

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の癌化の診断にEUS-FNAが有効であった一例

演者 小野寺 学(網走厚生病院 内科消化器科)
共同演者 松田 可奈(網走厚生病院 内科消化器科), 藤田 弘之(網走厚生病院 内科消化器科), 川岸 直樹(網走厚生病院 内科消化器科), 阿部 暢彦(網走厚生病院 内科消化器科), 長 いく弥(網走厚生病院 内科消化器科), 内田 多久實(網走厚生病院 内科消化器科), 藤永 明(網走厚生病院 内科消化器科), 市原 真(札幌厚生病院 臨床病理科), 村岡 俊二(札幌厚生病院 臨床病理科)
抄録 【背景】IPMNの経過観察については,2012年に国際診療ガイドラインが改訂され,悪性化や併存癌への監視が系統化されつつある.しかし,実際の診療においては,診断やマネージメントに苦慮する場合も多く,IPMNへのEUS-FNAはコンセンサスが得られていないのが現状である.今回我々は,IPMNの癌化への経過を追え,的確に診断し得た症例を経験したので報告する.【症例】80代,男性.2010年8月直腸癌にて低位前方切除術を施行し(pStageIII)を施行した.手術時より膵鉤部に20mmの嚢胞性病変がみられ,分枝型IPMNが疑われていた.術後も経過観察されていたが,2012年9月に膵鉤部のIPMNの増大傾向(嚢胞径30mm,壁在結節20mm),腫瘍マーカーの上昇(CEA7.1ng/ml,CA19-9 112.6U/ml) がみられ,外科から紹介された.EUSにて膵鉤部に21×18mmの壁在結節を有する分枝型IPMNを確認し,IPMNの増大傾向,壁在結節の出現,主膵管径の増大がみられることから,IPMNの悪性化を疑った.患者は高齢,直腸癌術後であり,手術での治療を希望せず,経過観察の方針となった.2012年12月のCTにて腫瘍の増大傾向,腫瘍マーカーの上昇(CEA43.8ng/ml,CA19-9 477.9U/ml)がみられた.高齢だがPSは0であったため,悪性化の診断がつけば,化学療法の方針とした.2013年1月コンベックス内視鏡にて,十二指腸壁近傍に壁在結節を確認し,壁在結節に対してFNAを施行した.4回穿刺を行い,1回に腺癌がみられ,IPMCと確定した.2013年2月からTS-1による化学療法を開始し,副作用なく経過し,効果判定もSDで経過している.【考察/結語】本症例のように,壁在結節を狙え,播種の危険が少ないような病変にはEUS-FNAは有用であると考えられた.適応症例には,積極的にEUS-FNAを行い,確定診断を求めていく事が重要である.
索引用語 IPMN, EUS-FNA