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タイトル

当院における総胆管結石例に対するEPLBD (Endoscopic papillary large balloon dilation) の治療成績

演者 江藤 和範(苫小牧市立病院 消化器内科)
共同演者 小林 智絵(苫小牧市立病院 消化器内科), 小西 康平(苫小牧市立病院 消化器内科), 山本 文泰(苫小牧市立病院 消化器内科)
抄録 【背景】近年,巨大結石や積み上げ結石など排石困難例に対して,大口径バルーンを用いた乳頭バルーン拡張術 (Endoscopic papillary large balloon dilation ; EPLBD) の有用性が報告されている.【目的】当院におけるEPLBDの治療成績を報告し,その有効性と今後の課題を明らかにすること.【当施設におけるEPLBDの適応】1) 巨大結石 (短径15 mm以上) や積み上げ結石 (5個以上) など排石に難渋することが予想される症例,2) 高齢 (80歳以上)・基礎疾患などを理由に短時間での内視鏡処置が望まれる症例.【対象】2012年4月から2013年5月までに当院で総胆管結石に対して内視鏡的排石術を施行した67例.【方法】ESTのみで排石を行った群 (EST群, 49例) とEPLBDを行って排石を行った群 (EPLBD群, 18例)の2群に分け,1) 患者背景(年齢,性別,傍乳頭憩室の有無,EST施行の既往の有無,結石径,結石数),2) 使用処置具,3) 機械式破砕具 (EML) 使用率,4) 処置時間,5) 完全排石率,6) 合併症,7) 再発率 (観察期間 0-14か月) について比較検討を行った.【結果】EST群:EPLBD群で各々,1) 年齢中央値 75 (47-90) : 75 (36-93), 男性 / 女性 30 / 19 : 9 / 9, 憩室あり 17 : 8, EST施行の既往 4 : 9, 結石径中央値(mm) 8 (2-36) : 10 (6-35), 平均結石数(個) 1.7 (1-4) : 1.8 (1-6)であった.2) バスケット / バルーン 18 /33 : 4 / 17 (併用症例あり), 3) EML 使用率(%) 12 (6 / 49): 16 (3 / 18),EPLBD群ではEMLで実際に破砕を必要とした症例はみられなかった.4) 処置時間中央値(分) 14 (2-57) : 18 (2-86),EPLBD群の胃切除 3例を除外した処置時間中央値 13 (2-42) , 5) 完全排石率(%) 98 (48 / 49) : 100 (18 / 18),6) 合併症率(%) 16 (8 / 49) : 6 (1 / 18),7) 再発率(%) 6 (3 / 49) : 0 (0 / 18)であった.【結語】当院の臨床成績ではEPLBDは高い排石率に加え,排石後の再発率が少なかった.また,大結石や多発結石例に対しても短時間で施行可能であり,安全な治療手段であると考えられた.今後は,初回乳頭症例に対しての安全性やEST負荷の要否等についても症例を集積し検討が必要と考えられた.
索引用語 EPLBD, 総胆管結石