セッション情報 シンポジウム2 「肝胆膵疾患における画像診断の進歩」

タイトル

膵疾患の診断における電子ラジアル型超音波内視鏡の新展開 -Real-time tissue ElastographyとContrast-enhance法を中心に-

演者 長川 達哉(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器科)
共同演者 松薗 絵美(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器科), 北川 翔(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器科)
抄録 電子ラジアル型超音波内視鏡(以下ER-EUS)は2002年に臨床応用されて以来,観測装置のフルデジタル化,多機能化,内視鏡機器の改良などの技術導入が継続的に行われ,次世代超音波内視鏡システムとして長足の進歩を遂げている.今回は膵疾患の診断におけるER-EUSの有用性を以下の3項目につき検討した.主な使用機種はPentax社製EG-3670URK,Hitachi-medico社製EUB-7500である.【膵小腫瘤性病変の診断における有用性】ER-EUSを施行した最大径15mm以下の腫瘤性病変16例を対象とした.B-mode画像の検討ではMR-EUSを同時に施行した8例(50%)において病変の境界や辺縁の明瞭化など画像の改善により質的診断が容易となった.またCDI/PDIの併用により,膵管癌を除く13例(81%)に血流信号が表示され,Levovistによる造影後は腫瘤形成性膵炎の2例を除く14例(88%)において周囲膵実質とのコントラストが鮮明となった.【Real-time tissue Elastographyによる膵疾患診断】膵疾患22例を対象に組織弾性イメージングを施行した.膵管癌8例では青色の表示(Hard image)が得られ周囲膵組織より硬度が増しており,一方慢性膵炎では赤色,青色の表示が入り混じり膵実質の硬度が不均一になる傾向が見られた.B-mode上境界不明瞭であった腫瘤形態が硬化性病変として明瞭に描出された症例を4例経験した.【Contrast-enhance法による膵疾患診断の有用性】血液循環により破壊されにくい超音波造影剤であるSonazoidの臨床導入とPulse-inversion法によるBubbleからの高調波の画像化により病変のvasucular structureを可視化することが可能となった.膵疾患28例を対象とした検討では平衡相の観察により腫瘍性病変のvascularityの判定が容易となり,腫瘍進展部と随伴性膵炎の鑑別や壁在結節の明瞭化に有用であった.従来からの形態診断に組織弾性,血流評価という新たな画像情報が加わることにより診断精度向上が期待される.
索引用語 膵疾患, 超音波内視鏡