セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 183:悪性リンパ腫の腸管合併症の検討 -手術時期の最適化について- |
演者 | 定免 渉(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科) |
共同演者 | 黒田 裕行(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 吉田 正宏(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 松野 鉄平(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 佐藤 昌則(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 山田 充子(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 安部 智之(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 櫻井 環(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 藤井 重之(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 前田 征洋(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 藤田 美悧(製鉄記念室蘭病院 病理臨床検査室), 仙丸 直人(製鉄記念室蘭病院 外科) |
抄録 | [背景] 悪性リンパ腫は全身のあらゆる臓器に発症し, ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫 (NHL) に分類されるが,本邦においては大部分が NHL である。消化管は節外リンパ腫の好発部位であり, その頻度は NHL の約 20% と報告されている。消化管リンパ腫における腸閉塞・穿孔・出血は特異的な腸管合併症であり,びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫で穿孔した際は極めて予後不良とされている。しかし,これまで腸管合併症の危険因子について検討された報告はほとんどない。悪性リンパ腫の腸管合併症が化学放射線療法前に予測可能ならば手術適応の選択ができる。このため,自施設において腸管合併症のため手術を要した NHL 症例について臨床病理学的に検討した。[方法・結果] 2007年1月から2012年6月までの約5年間に当院で診断した NHL 73例のうち消化管浸潤を認めた28例を対象とした。28例中7例 (25.0%) に腸管合併症を認め,空腸・回腸病変においてその頻度が高かった。また,半周以上の病変を有する症例や消化管以外に原発巣を症例の消化管浸潤(stageIVの全身性リンパ腫)において腸管合併症のリスクが有意に高かった。この結果を踏まえて2012年7月から2013年9月までに当院を受診した21例の NHL についてほぼ全例に消化管検査を行い,腸管合併症の高危険度群において可能な限り化学療法前に腸管切除を行う方針とした。21例中11例に消化管病変を認め,そのうち6例が腸管合併症の高危険度群であった。3例は化学療法前に消化管病変の切除が可能であり,もう一方の3例では NHL の病勢や患者の全身状態を考慮して化学療法を先行せざるを得なかった。前者は全例で術後化学療法を遂行できており現在まで無再発生存中であるが,後者は全例で腸管合併症のため外科手術を要した。[考察・結語]小腸における半周以上のリンパ腫病変は,特に全身性リンパ腫の消化管浸潤例は,腸閉塞・穿孔・出血などの腸管合併症の高危険度群である。かかる症例においてはリンパ腫の病勢や患者の全身状態が許す限り化学療法前に消化管病変切除を考慮する必要があると考えられた。 |
索引用語 | 消化管リンパ腫, 腸管合併症 |