セッション情報 一般演題

タイトル 072:

超高齢者の上部消化管内視鏡検査の検討―sedationによる偶発症を中心に―

演者 鈴木 康秋(名寄市立総合病院 消化器内科)
共同演者 井尻 学見(名寄市立総合病院 消化器内科), 芹川 真哉(名寄市立総合病院 消化器内科), 杉山 祥晃(名寄市立総合病院 消化器内科), 山下 優子(名寄市立総合病院 内視鏡検査室), 河上 智子(名寄市立総合病院 内視鏡検査室), 佐藤 龍(札幌東徳洲会病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】長寿国である我が国では今後85歳以上の超高齢者の内視鏡検査・治療が増加すると思われる。超高齢者の内視鏡では、特にsedationに際し、心肺機能の低下などが問題となる。今回我々は、上部消化管内視鏡(EGD)を施行した超高齢者について、sedationによる偶発症を中心に検討したので報告する。【対象】2012.4~2013.3月に当科でEGD(ESD・EMR等の治療内視鏡は除く)を施行した1.274例中、85歳以上の超高齢者65例(5.1%)。平均年齢88±3.3歳(男:女=36:29)。目的は検査48、イレウス管挿入アシスト10、緊急止血7例で、挿入経路は経口38、経鼻27例。【sedationの方法】sedationはルート確保にてミダゾラムを用い、看護師2名が視診とパルスオキシメータ、自動血圧計、心電計により意識状態と呼吸循環動態の観察をおこなった。【結果】1、sedationは42例(64.6%)におこなわれ、ミダゾラム平均投与量は2.4±1.4mgであった。2、9例(13.8%)にSpO2低下(92%未満)による酸素投与を要した。SpO2低下はsedation群で有意に多かったが(21.4% vs 0%、p=0.02)、SpO2低下群と非低下群でミダゾラム投与量に有意差はなかった(2.1mg vs 2.4mg)。3、EGD中・後の血圧低下(BP100未満)を5例(7.7%)に認めたが、sedation群と非sedation群で有意差は認めなかった(9.5% vs 4.3%)。昇圧剤を要した症例はなかった。血圧低下群と非低下群でミダゾラム投与量に有意差はなかった(2.1mg vs 2.4mg)。4、25例(38.5%)が脳・心血管系疾患により抗血栓薬を服用していたが、出血性合併症は認めなかった。5、sedationによる偶発症で拮抗薬を要した症例はなかった。【結語】超高齢者のEGDでは、少量の鎮静薬によるsedationで呼吸抑制をきたし、非sedationでも血圧が低下する例がある。しかし、慎重なモニタリングにより重篤な偶発症は回避可能と考えられる。
索引用語 超高齢者, 上部消化管内視鏡