セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 033:

CTで診断し内視鏡的に治療しえた下行結腸魚骨穿通の1例

演者 村上 雄紀(名寄市立総合病院 消化器内科)
共同演者 井尻 学見(名寄市立総合病院 消化器内科), 芹川 真哉(名寄市立総合病院 消化器内科), 杉山 祥晃(名寄市立総合病院 消化器内科), 鈴木 康秋(名寄市立総合病院 消化器内科)
抄録 【症例】80歳代、女性。2日前の夜より左下腹部痛が持続し当科受診。腹部触診にて、左下腹部のかなり限局した領域に強い圧痛を認めた。血液生化学検査では、CRPの軽度上昇以外は著変を認めなかった。腹部XPは異常所見を認めなかった。腹部CTでは、下行結腸を貫通する線状のhigh densityな異物を認め、周囲脂肪織濃度が軽度上昇していた。詳細な問診により、2日前の夕方にカレイの唐揚げを食べていたことが判明し、下行結腸の魚骨穿通が考えられた。下行結腸に飴色の針状異物が貫通しており、刺入部はやや隆起し、膿様の粘液が付着していた。把持鉗子により約3cmの硬い針状の異物が摘出され、カレイの魚骨と考えられた。摘出後に施行したガストロ造影ではガストロのleakはなく、翌日に施行したCTでは線状のhigh densityな異物は消失しており、free airも認めなかった。腹痛は消失し、絶食・抗菌剤投与にて保存的加療後に食事を再開し、5日目に退院となった。【考察】本邦の2001年から2010年の10年間の魚骨による消化管穿孔・穿通446例の集計では、穿孔・穿通部位は小腸、横行結腸、S 状結腸の割合が多く、下行結腸は9例(2%)と少ない。魚種は、タイ(36%)、カレイ(14%)、ブリ(14%)が多く、これらの骨は硬いといわれていることから、魚骨の硬さと関連があると言われている。魚骨の消化管穿孔における CT の感度は60%~70%と報告されていたが、近年.はCT の術前正診率が向上している。治療は多くの症例では手術をされており、本症例のように内視鏡的治療がおこなわれたのは17例(3.8%)のみであった。【結語】CTと詳細な問診により診断可能であった下行結腸魚骨穿通の1例を経験した。手術治療がおこなわれる症例が多いが、本症例では内視鏡的に治療しえたので報告する。
索引用語 魚骨穿通, 内視鏡的治療