セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 018:

魚骨食道穿孔による縦隔気腫および縦隔炎に対し保存的加療を行った1例

演者 飯田 智哉(市立室蘭総合病院 消化器内科)
共同演者 中垣 卓(市立室蘭総合病院 消化器内科), 佐々木 基(市立室蘭総合病院 消化器内科), 永縄 由美子(市立室蘭総合病院 消化器内科), 石上 敬介(市立室蘭総合病院 消化器内科), 佐藤 修司(市立室蘭総合病院 消化器内科), 清水 晴夫(市立室蘭総合病院 消化器内科), 金戸 宏行(市立室蘭総合病院 消化器内科), 篠村 恭久(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
抄録 【症例】62歳、男性【主訴】胸部違和感【現病歴】平成25年6月下旬、カレイを食べた後に胸部の違和感を自覚し当科を受診。【現症】体温37.4度、腹部は平坦、軟で圧痛なく、皮下気腫を認めず。【経過】魚骨誤飲による症状を疑い胸部CTを施行したところ、下部食道に魚骨と思われる針状のhigh density像があり、食道壁を貫通し縦隔内に穿孔していた。縦隔気腫は頸部から横隔膜直上まで認めたが、食道背側に偏在しており皮下気腫は認めなかった。魚骨周囲にはlow density areaが見られ、縦隔炎の所見と考えられた。CO2送気を用い、緊急で上部消化管内視鏡検査を行ったところ、門歯より34cmの下部食道右壁に魚骨が刺入しており、対側食道壁には潰瘍形成を認めた。把持鉗子で魚骨を透明フード内に引き込み抜去、回収した。内視鏡検査終了後にCTを再検したが、魚骨の遺残は認めず、縦隔気腫の拡大は軽度であった。縦隔炎に対しては絶飲食の上、MEPMで治療を開始、PPIも併用した。入院第2病日のCRPは22mg/dlまで上昇、38度超の発熱も認めたが、第3病日のCTで縦隔気腫、縦隔炎の拡大がないことを確認し飲水を開始、第5病日より食事を開始した。第9病日のCRPは1台にまで低下したが、CTで穿孔部周囲に縦隔炎が残存していたためLVFXの内服に変更して抗生剤を継続、第14病日に当科退院となった。2か月後のCTでは縦隔気腫、縦隔炎の所見はともに消失していた。【考察】今回我々は、魚骨食道穿孔による縦隔気腫および縦隔炎に対し保存的加療を行った1例を経験した。異物による食道穿孔は全食道穿孔の2-4%程度と稀であるが、縦隔に近接しているため重篤な合併症を来す可能性がある。異物の中では魚骨によるものが最も多く、本邦での魚骨による食道穿孔の報告数は現在までに40例程度となっている。本症例同様、保存的加療により軽快した報告も増加してきており、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 魚骨, 穿孔