セッション情報 一般演題

タイトル 090:

TACE後の再発に対する再肝切除後、急速に再発した肝細胞癌の2例

演者 折茂 達也(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野I)
共同演者 神山 俊哉(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野I), 横尾 英樹(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野I), 柿坂 達彦(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野I), 若山 顕治(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野I), 敦賀 陽介(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野I), 蒲池 浩文(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野I), 武冨 紹信(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野I)
抄録 【はじめに】肝細胞癌の治療のなかで再切除とTACEは重要な位置を占め再発治療としても広く行われており、再切除は初回切除成績とほぼ同等である。しかしその一方でTACEによって肝細胞癌の悪性度が増すこともある。当科で経験したTACE後の再発に対し外科的切除後、門脈腫瘍栓を伴う形態で急速に再発した肝細胞癌の2例を報告する。【症例1】68歳男性で、肝細胞癌に対し肝外側区切除、肝S7部分切除とRFAを2回行われた後に、肝S5の再発に対しTACEを施行した。その後TACEによる十分な治療効果が得られなくなり、S5再発に対し、肝S5亜区域切除術を施行した。病理結果はpoorly differentiated hepatocellular carcinoma,im(-),fc(+),fc-inf(+),sf(-),s0,vp1,vv0,va0,b0であった。術後4カ月で門脈腫瘍栓を伴う多発再発を認め、肝動注療法を施行中である。【症例2】68歳男性で、肝細胞癌に対し,肝拡大内側区切除を施行後、再発に対しTACEを3回施行された。その後肝S8に再発を認め、TACEを試みたが栄養動脈がなくTACE不応となったため、肝拡大後区域切除を施行した。病理結果はmoderately>poorly differentiated hepatocellular carcinoma,fc(+),fc-inf(+),sf(+),s0,vp2,vv0,va0,b0であった。術後5カ月で残肝に門脈腫瘍栓を伴う再発を認め、肝動注療法を施行中である。【結語】肝細胞癌再発に対し再切除は有効な治療法であるが、TACEにより腫瘍の悪性度が増すことがあり、複数回の再発治療後の手術に際しては、急速な再発形式もありうることを念頭に置くべきであると考えられた。
索引用語 肝細胞癌, 再切除