セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 125:

後下区域胆管から発生し多彩な進展形態を呈した胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)の1例

演者 猪子 和穂(北海道大学 消化器外科学分野II)
共同演者 松本 譲(北海道大学 消化器外科学分野II), 佐藤 暢人(北海道大学 消化器外科学分野II), 海老原 裕磨(北海道大学 消化器外科学分野II), 倉島 庸(北海道大学 消化器外科学分野II), 田本 英司(北海道大学 消化器外科学分野II), 中村 透(北海道大学 消化器外科学分野II), 村上 壮一(北海道大学 消化器外科学分野II), 土川 貴裕(北海道大学 消化器外科学分野II), 岡村 圭祐(北海道大学 消化器外科学分野II), 七戸 俊明(北海道大学 消化器外科学分野II), 平野 聡(北海道大学 消化器外科学分野II), 佐藤 大介(北海道大学 消化器外科学分野IIDELIMITER北海道大学病理部), 三橋 智子(北海道大学病理部), 大原 正嗣(北見赤十字病院消化器内科)
抄録 【背景】Intraductal papillary neoplasm of bile duct (IPNB)は胆管内腔に乳頭状増殖を示す胆管上皮性腫瘍であり,2010年のWHO分類では腫瘍細胞の異型度により3型に分類される.今回,我々は広範囲かつ多彩に進展したIPNBの1例を経験したので報告する.【症例】80歳,男性.近医で肝機能異常を指摘され,CTで肝S6の低吸収域と後区域の萎縮,門脈右枝の閉塞を認めた.約8ヶ月間,経過観察されていたが胆管炎を発症しERCPを施行され,その際の右肝内胆管の生検でadenocarcinoma (pap/tub1)の病理診断であった.精査の結果,胆管内発育型肝内胆管癌と診断し、手術は肝右葉・尾状葉・肝外胆管切除術および門脈合併切除再建術を施行した.病理所見では病変はB6を主座とし,胆管内腔への外向性発育を主体として腫瘍細胞が線維血管軸を介在して乳頭状に増殖している像を認めた.一部胆管周囲への浸潤も認められたが大部分で胆管・Glissonの構造は保たれており, IPNB with an associated invasive carcinomaと診断した.腫瘍はB7へ上皮置換性進展,前区域枝,右肝管及び尾状葉枝へは内腔に広範な鋳型状進展を呈していた.免疫染色ではMUC1が浸潤部を中心に一部で陽性,MUC6は広範に陽性であったがMUC2,5ACは陰性であった.なお,門脈閉塞部位の大部分は腫瘍成分を伴わない血栓であったが,門脈二次分枝での少数の腫瘍細胞を認めた.また#12b2,12p2にリンパ節転移を認めた.術後はGrade Bの胆汁瘻を認めたが保存的に改善し,以後外来で経過観察中である.【考察】IPNBでは上皮置換性の進展と鋳型状進展などの進展形式の多様性や、浸潤成分の併存が術式決定に重要であると考えられた.【結語】末梢胆管に発生し広範かつ多彩な進展を呈したIPNBの1例を経験した.
索引用語 IPNB, 手術