セッション情報 一般演題

タイトル 110:

局所進行膵癌に対するゲムシタビン併用術前放射線化学療法の治療効果

演者 敦賀 陽介(北海道大学 消化器外科I)
共同演者 蒲池 浩文(北海道大学 消化器外科I), 若山 顕治(北海道大学 消化器外科I), 折茂 達也(北海道大学 消化器外科I), 柿坂 達彦(北海道大学 消化器外科I), 横尾 英樹(北海道大学 消化器外科I), 神山 俊哉(北海道大学 消化器外科I), 武冨 紹信(北海道大学 消化器外科I)
抄録 【はじめに】近年、膵癌に対する術前放射線化学療法(NACRT)の有用性が報告されている。当科では局所進行膵癌に対しGemcitabine(GEM)併用NACRTを実施しており、その治療効果について検討した。【対象・方法】当科で施行したNACRT症例28例(Borderline resectable 23例、Unresectable 5例)。GEMは150mg/m2を週一回投与。放射線治療は、50.4G/28fを3門3次元原体照射にて行った。【結果】GEM不耐性の2例と治療中に遠隔転移が出現した3例を除く、23例(82.1%)にNACRTを完遂した。完遂症例におけるNACRTに伴う副作用として、白血球減少Grade 3を7例、Grade 4を2例に認め、間質性肺炎を1例に認めた。治療前後のCT画像上の効果判定ではPR6例、SD12例、PD5例であった。完遂症例23例中、患者拒否1例、PD2例、最終評価での肝転移、遠隔リンパ節転移出現3例を除く17例に開腹手術を施行し、肝転移2例、腹膜播種1例を除く14例(切除率50.0%)に根治術を施行した。術式は膵頭十二指腸切除11例、膵体尾部切除2例、膵全摘術1例で門脈合併切除再建を10例、動脈合併切除再建を1例に併施し、R0切除率は100%であった。組織学的効果判定は癌細胞破壊10%以下が1例、10~20%が5例、50~90%が6例、90%以上破壊が2例であった。5例で術前診断からのdown stageが得られた。現在8例で再発を認め、初回再発部位として肝臓が4例と最も多かった。1年生存率は、84.6%、3年生存率は32.2%、MSTは26.1ヵ月であった。【結語】本レジメンによるGEM併用術前放射線化学療法は安全に施行可能であり、切除症例には組織学的有効性を認めた。肝転移の制御が今後の治療成績の向上には不可欠と考えられた。
索引用語 NACRT , 膵癌