セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 028:

内視鏡的治療により改善を認めたCap polyposisの1例

演者 平山 大輔(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
共同演者 一色 裕之(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 福田 昴一郎(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 赤保内 正和(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 石黒 一也(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 東出 侑子(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 村上 佳世(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 小野寺 馨(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 山本 英一郎(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 山下 健太郎(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 有村 佳昭(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 篠村 恭久(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
抄録 症例は42歳,男性.2007年低酸素脳症となり現在も軽度高次脳機能障害が残存している.2001年潰瘍性大腸炎(UC)と診断された.2011年後半より下痢の増悪と血清アルブミン(Alb)の低下が出現・増悪し,UC増悪と診断され治療を行うも改善は認められなかった.消化管内視鏡検査では2010年より横行結腸を中心にポリープが出現し,徐々に増加していた.2013年4月,精査加療目的に当科紹介入院となり,入院時排便回数は12行/日で,Alb 2.1 mg/dlと低蛋白血症を認め,便中C.difficile抗原が陽性であった.消化管シンチグラフィーでは大腸からの蛋白漏出が認められ,下部消化管内視鏡検査では横行結腸を中心に直腸~肝弯曲まで頂部に白苔を伴う有茎性~亜有茎性ポリープが数百個存在し,病理組織検査では腺管過形成,炎症細胞浸潤と頂部に肉芽組織が認められた.以上より,Cap polyposisと診断した.入院後,メトロニダゾール内服としたが内視鏡所見および低蛋白血症の改善は認められず,入院第32病日より内視鏡的切除による治療を開始した.有茎性病変に対してはEMRにより,比較的平坦な病変に対してはスネア留置により切除を行い,第77日目まで内視鏡的治療を計4回行い合計EMR 245回,スネア留置 20回施行した.4回目終了後より徐々に低蛋白血症と下痢の改善を認め,第113病日退院となった.その後も内視鏡的切除術を行い,最終的に内視鏡的治療を合計7回,EMR 413回,スネア留置 20回施行によりポリープはほぼ認められなくなり,排便回数2行/日,Alb 3.8 mg/dlと症状・血液検査も改善し,消化管シンチグラフィーでも蛋白漏出は認められなくなった.Cap polyposisに対する治療は病変が多数の場合は大腸切除が一般的だが,外科的治療後の再発率が30~50 %と低くないこと,高次機能障害のため人工肛門管理の困難が予想されたこと,低蛋白血症による手術リスクが高いこと,また,患者・家族も手術を積極的に希望されなかったことから,まず内視鏡的治療を選択した.数百個のCap polyposisにおいても,場合によっては内視鏡的治療も有用な治療選択肢となりうると考えられ,ここに報告する.
索引用語 Cap polyposis, 内視鏡的治療