セッション情報 一般演題

タイトル 050:

大部分が扁平上皮下に存在したBarrett食道SM癌の1例

演者 高橋 正和(北海道大学病院 消化器内科)
共同演者 清水 勇一(北海道大学病院 消化器内科), 吉田 武史(北海道大学病院 消化器内科), 大野 正芳(北海道大学病院 消化器内科), 津田 桃子(北海道大学病院 消化器内科), 松本 美櫻(北海道大学病院 消化器内科), 大森 沙織(北海道大学病院 消化器内科), 森 康明(北海道大学病院 消化器内科), 中川 学(中川胃腸科), 小野 尚子(北海道大学病院 光学医療診療部), 中川 宗一(中川胃腸科), 間部 克裕(北海道大学病院 光学医療診療部), 加藤 元嗣(北海道大学病院 光学医療診療部), 坂本 直哉(北海道大学病院 消化器内科)
抄録 症例は50歳代男性.2012年3月に下痢および嘔吐を主訴に近医を受診した.同院にて施行された上部消化管内視鏡検査(以下EGD)で食道に異常を指摘されたため,精査加療目的に当科紹介となった.当科で施行したEGDでは,EGJにSSBE(C1M3)を認めており,SCJ付近に15mm大の扁平隆起性病変を認め,その大部分は扁平上皮に覆われていた.病変の肛門側でわずかに腺癌の所見が確認された.EUSでは第3層の軽度菲薄化を認めており,深達度はSM1程度と考えられた.以上の結果から,食道腺癌 cT1b,N0,M0 cStage Iの診断ではあったが,ご本人の希望もあり診断的ESDを施行する方針となった.ESDは出血が多くやや難渋するも,切除時間77分で一括切除,内視鏡的完全切除となった.病理組織学的所見では,粘膜下層に浸潤する異型腺管を認め,Adenocarcinomaの所見であり,腫瘍の大部分が正常重層扁平上皮に覆われていた.腫瘍の背景には,粘膜筋板の二重走行,粘膜下層の食道固有腺の存在が認められ,Adenocarcinoma in the Barrett esophagus, pT1b (SM2), pHM0, pVM0, INFa, Ly0 (D2-40), v0 (E-Ma) pStage I. の診断であった.深達度SM2であったため,追加外科切除を勧めたが,本人が手術を拒否されたため,EGD/EUSおよびCT検査にて厳重にfollowしているが,2013年12月現在の時点で再発を疑う所見は認めていない. 今回我々は,大部分が扁平上皮下に存在したBarrett食道SM癌の1例を経験したので報告する.
索引用語 食道癌, Barrett腺癌