セッション情報 一般演題

タイトル 006:

非切除肝門部悪性胆道狭窄に対する6Fr金属ステントを用いたサイドバイサイド法による内視鏡的複数本ステントの一期的同時留置術の安全性と有効性を検討する後方視的研究

演者 川久保 和道(北海道大学 消化器内科)
共同演者 河上 洋(北海道大学 消化器内科), 桑谷 将城(北海道大学 消化器内科), 阿部 容子(北海道大学 消化器内科), 工藤 大樹(北海道大学 消化器内科), 久保 公利(北海道大学 消化器内科), 久保田 良政(北海道大学 消化器内科), 坂本 直哉(北海道大学 消化器内科)
抄録 【背景】非切除肝門部悪性胆道狭窄に対する胆道ドレナージ術は複数本の金属ステントの留置が必要になる場合が多いが,その技術的難易度は高い.複数本留置法には,ステントインステント(SIS)法とサイドバイサイド(SBS)法があるが,いずれの方法が最適なのかといった評価は定まっていない.近年,6Frの細径シース外径である金属ステント(Zilver635 Biliary Self-Expanding Stent)が開発され,内視鏡の鉗子口を通して2本同時にSBS法で金属ステントを留置することが可能となった.今回,我々はSBS法による一期的同時留置術の安全性と有効性を検討することを目的とし検討を行った.【方法】2013年5月から9月までに,SBS法による一期的同時留置術を行った連続13例(男/女:4/9,年齢中央値72,胆管癌/胆嚢癌:11/2)について,手技成功率,偶発症,ステント開存期間について検討した.留置方法は鉗子口径4.2mmの処置用十二指腸鏡(TJF260V)を用い,2本のガイドワイヤーをドレナージの目的とする肝内胆管内に留置した後,それぞれに6Fr金属ステントを沿わせ,2本同時に内視鏡鉗子口を通して留置した.【結果】13人中11人(84.6%,[95%信頼区間:57.8-95.8])でSBS法による複数本一期的同時留置に成功した.不成功となった2例は,SIS法にコンバートすることにより,複数本留置に成功した.手技時間中央値は25分.ステント拡張痛と思われる腹痛を8例(62%)に認めたが,いずれも保存的に改善した.手技関連死亡はなく,早期偶発症を4例(ステント閉塞1,区域性胆管炎1,肝膿瘍2)ならびに後期偶発症を4例(ステント閉塞2,区域性胆管炎1,胆嚢炎1)に認めた.ステント開存期間中央値は129日であった.【結論】非切除肝門部悪性胆道狭窄に対する6Fr金属ステントを用いたSBS法による内視鏡的複数本ステントの一期的同時留置術は,胆道ドレナージ法の選択肢になりうる.SIS法との比較や長期成績を明らかにするために,さらなる検討が必要である.
索引用語 非切除肝門部悪性胆道狭窄, サイドバイサイド法