セッション情報 一般演題

タイトル 162:

大腸癌間転移切除症例における化学療法と背景肝についての検討

演者 土井  綾子(KKR札幌医療センター 斗南病院 腫瘍内科)
共同演者 辻 靖(KKR札幌医療センター 斗南病院 腫瘍内科), 北山 浩光(KKR札幌医療センター 斗南病院 腫瘍内科), 平山 眞章(KKR札幌医療センター 斗南病院 腫瘍内科), 藤井 亮爾(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科), 藤江 慎也(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科), 皆川 武慶(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科), 木村 朋広(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科), 庵原 秀之(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科), 住吉 徹哉(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科), 由崎 直人(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科), 近藤 仁(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科), 鈴木 善法(KKR札幌医療センター 斗南病院 外科), 奥芝 俊一(KKR札幌医療センター 斗南病院 外科), 大森 優子(KKR 札幌医療センター 斗南病院 病理科), 小山田 ゆみ子(KKR 札幌医療センター 斗南病院 病理科)
抄録 【目的】周術期化学療法の併用により、大腸癌の切除可能な肝転移例が増えている。一方、オキザリプラチンやイリノテカン等の抗癌剤による、切除肝の類洞拡張や脂肪性肝炎といった肝障害の報告も増えている。当院での大腸癌化学療法後に肝切除を行った症例における、化学療法と背景肝障害との関連性を調べるためにレトロスペクティブな検討を行った。【対象・方法】平成18年5月から平成25年12月に当院で大腸癌肝転移にて、化学療法後に肝切除を施行した症例を対象とする。背景肝と術前の化学療法レジメン内容や抗癌剤投与量、最終抗癌剤投与から手術までの期間との関連について検討した。抗癌剤については、5-FU、オキザリプラチン、イリノテカンの3剤について、標準1回投与量を1単位として、単位を用いて投与量を比較した。肝障害については、背景肝の脂肪化や炎症の程度をKleinerらの方法によりNAFLD活動性スコア、類洞拡張についてはRubbia-Brandtらの方法に従ってスコアリングを行った。【結果】45症例、57病変。男女比は24:21、年齢中央値65.1歳。最終抗癌剤投与から切除までの期間の中央値は5.4週であった。肝切除前に最も多く使用された化学療法レジメンはFOLFOXであり、オキザリプラチンの投与量の中央値は5単位であった。いずれの薬剤も投与量と肝障害度に相関を認めなかった。また、休薬期間やICG、BMIについても相関を認めなかった。既存の報告の通り、イリノテカンと脂肪性肝炎、オキザリプラチンと類洞拡張の関連を認めたが、それぞれ例外も認めた。【結論】大腸癌肝転移症例に対する化学療法により、肝障害が生じる可能性があるが、大部分は軽度の障害に留まっていた。中には重篤な肝障害を発症した症例があり、薬剤投与量に関わらず肝障害が起こり得るため、各種検査による慎重な経過観察が必要であると考えた。
索引用語 化学療法, 肝障害