セッション情報 一般演題

タイトル 163:

大腸癌肝転移に対し,Bevacizumab併用化学療法でOptimal responseが得られた一例

演者 北山 浩光(KKR札幌医療センター斗南病院 腫瘍内科)
共同演者 辻 靖(KKR札幌医療センター斗南病院 腫瘍内科), 土井 綾子(同 消化器内科), 庵原 秀之(同 消化器内科), 住吉 徹哉(同 消化器内科), 由崎 直人(同 消化器内科), 平山 眞章(同 消化器内科), 近藤 仁(同 消化器内科)
抄録 【症例】50歳代女性【主訴】便秘【既往歴】胃潰瘍【現病歴】2013年4月に便が出にくくなり前医受診,下部消化管内視鏡検査でS状結腸に狭窄を伴う全周性の2型腫瘍があり当院紹介となった.生検で高分化腺癌の診断となり,肝全体に40mm以下の転移性腫瘍の多発を認めた.同月に腹腔鏡下S状結腸切除術を施行し,KRAS野生型であった.【経過】腫瘍内科紹介となり,6月からIRIS(Irinotecan+S-1)/Bevacizumab療法を開始した.4コース後の評価でRECIST判定ではStable Disease(SD)であった.しかし,治療開始前の造影CTで肝転移巣の内部濃度が不均一で周囲との境界が不明瞭であったが,4コース終了後には内部濃度が均一に低下し周囲との境界が明瞭となっていた.すなわち,Morphology分類がGroup 3から1に改善していた.腫瘍マーカーも急激な減少が続いており,IRIS/Bevacizumab療法を継続している.【考察】2009年にChunらが大腸癌肝転移に対する化学療法のMorphology分類を提唱した.その後,2012年の大腸癌肝転移における集学的国際コンセンサスにおいて,Bevacizumabをはじめとする血管新生阻害薬に対しては,RECIST判定よりも形態学的評価の方が病理学的奏功や生存効果に相関することが明記された.本症例はRECIST判定ではSDだったが,形態学的評価はOptimal responseであった.サイズベースであるRECIST判定では評価できない抗腫瘍効果を,ノンサイズベースである形態学的評価でとらえられたものである.しかし,Conversionが可能か否か,病状進行をどうとらえるかなど課題も多い.化学療法による高度な病理学的奏効および予後改善効果が見込まれる典型的な1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 Optimal response, Morphology分類