セッション情報 一般演題

タイトル 174:

狭窄型虚血性腸炎の一例

演者 金野 陽高(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器内科)
共同演者 林 明宏(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器内科), 上野 敦盛(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器内科), 羽廣 敦也(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器内科), 丹野 誠志(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器内科)
抄録 症例は80歳代男性、2012年12月胸腹部大動脈瘤に対し人工血管置換術を施行した。2013年4月より便が細くなり、大腸内視鏡検査を予定していたが、5月前処置の下剤服用により嘔吐・嘔気あり、精査加療目的に当院紹介され入院となった。CT上、直腸壁の全周性肥厚を認め口側腸管の拡張を認めた。下部消化管内視鏡上はRaに全周性の狭窄を認め、そこから口側に縦走傾向のある潰瘍を認めた。さらに口側の腸管にはびらん・浅い潰瘍が多発し閉塞性腸炎を呈しているものと考えた。生検上悪性所見はなく、大動脈瘤手術の既往もあることから虚血性直腸炎の可能性を考えた。保存的に加療したが、潰瘍の治癒傾向とともに狭窄が進み、腹痛が悪化した。バルーン拡張術を試みたが、拡張の際に生じる粘膜障害のため粘膜治癒は遷延し、狭窄部からの出血も頻回に生じるようになった。悪性所見はないものの、狭窄の解除、出血のコントロール目的に手術的治療を考慮した。しかし、全身状態が悪く耐術能に問題あったため、S状結腸人工肛門造設術のみを施行した。術後腹部症状は軽快し、経過観察中である。虚血性直腸炎は、血管側因子が発症にかかわるとされ、虚血性大腸炎が便秘などの腸管側因子により発症するのと異なっている。血流障害の原因として腹部大動脈手術、骨盤内手術、膠原病・血管炎などが報告されている。高齢男性に多いとされるが報告例が少なく、病態が不明な点も多い。今回我々は、狭窄型を呈した虚血性直腸炎と考えられた一例を経験したので報告する。
索引用語 虚血性直腸炎, 狭窄型