セッション情報 一般演題

タイトル 108:

超音波内視鏡検査に鎮痙剤は必要か?-鎮痙剤の有無に関する多施設共同前向き無作為化比較試験-

演者 桑谷 将城(北海道大学 消化器内科DELIMITERHONEST group)
共同演者 河上 洋(HONEST group), 林 毅(HONEST group), 江藤 和範(HONEST group), 大和 弘明(HONEST group), 小野寺 学(HONEST group), 石渡 裕俊(HONEST group), 川久保 和道(HONEST group), 羽場 真(HONEST group), 工藤 大樹(HONEST group), 阿部 容子(HONEST group)
抄録 【背景】 検査時間の短縮,手技や観察精度の向上の目的で,上下部消化管内視鏡検査・治療および超音波内視鏡検査(EUS/EUS-FNA)において消化管鎮痙は慣例的に行われてきた.消化管非鎮痙下に,支障なくEUS/EUS-FNAを完遂できることは診療上よく経験されるが,科学的に前向きに検討した報告はこれまでにない.
【目的】 EUS/EUS-FNA において,前処置としての消化管鎮痙の必要性を明らかにすること.
【対象と方法】 2012年5月~2013年3月の間,研究参加6施設にて同意を得た後に,胆膵およびその周囲領域疾患の精査目的にEUS or/and EUS-FNAを施行した400例を対象とした.中央登録制による施設毎の層別化・無作為化を行い,鎮痙剤投与群(鎮痙群) と非投与群(非鎮痙群)の2群に割り付けた.前者の場合,術者に盲目的に検査5分前に鎮痙剤を筋注投与した.EUS/EUS-FNAを行い,検査後3時間以内に術者・患者にアンケート調査を行った.
【検討項目】 1)患者背景,2)全検査時間,3)血圧・心拍数の変動,4)術者の検査満足度(各10点 VAS score),5)患者の検査中疼痛・不快感・検査後の再検査意欲(各10点 VAS score),とした.
【結果】 鎮痙群200例vs. 非鎮痙群197例(3例脱落).1)平均年齢 66.3 vs. 67.4歳 (20-90),男女比 108:92 vs. 101:96,対象疾患(膵:胆管:胆嚢:乳頭部:その他) 122:31:16:8:23 vs. 115:24:27:7:24(いずれも有意差なし).2)2299±937 vs. 2259±1019 秒(非劣性マージン範囲内).3)検査前後,検査中の収縮期血圧,拡張期血圧,心拍数の変動はいずれも両群で差はみられなかった.4)検査中の患者体動:画像描出のしやすさ:検査の達成度,9.4:9.6:9.5 vs. 9.6:9.7:9.5(いずれも有意差なし).5)患者の検査中疼痛:不快感:検査後の再検査意欲 8.7:8.7:8.6 vs. 8.6:8.6:8.7(いずれも有意差なし).
【結語】 EUS/EUS-FNAは,鎮痙剤投与を行わなくとも安全かつ効率的に遂行可能である.
索引用語 超音波内視鏡, 鎮痙剤