セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 136:

食道adenosquamous carcinoma(腺扁平上皮癌)の一例

演者 田中 一之(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野)
共同演者 上野 伸展(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 石井 貴大(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 坂谷 慧(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 堂腰 達矢(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 藤林 周吾(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 安藤 勝祥(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 後藤 拓磨(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 嘉島 伸(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 笹島 順平(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 稲場 勇平(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 伊藤 貴博(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 盛一 健太郎(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 藤谷 幹浩(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 高後 裕(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野)
抄録 症例は72歳、男性。2013年3月、左胸痛の主訴で前医を受診され上部内視鏡検査が施行された。門歯より35cmに褪色調を呈する8mm大の病変を認め生検にてHigh grade intraepithelial neoplasia (SCC in situ)の診断となった。全身精査にてリンパ節転移認めず、内視鏡治療の適応と判断され当院に紹介となった。2013年6月当院入院、門歯より35cmに0-IIc病変を認め、ルゴール散布では病変が溝状に不染となり明らかな不染帯の所見を呈さなかった。深部浸潤を疑う所見は認められなかったため、粘膜下層切開剥離術を施行した。切除病変の病理所見は表層異型扁平上皮から移行するように異型基底細胞様細胞が胞巣状から腺管状に浸潤性に増殖しており、免疫染色にてCK7、CK20陽性、約1/3の胞巣状部分がCK5/6、p63陽性で約2/3の腺管状部分がCK5/6、p63陰性でありadenosquamous carcinoma(ASC)と最終診断した。深達度は大部分がT1a-LPMであったが、わずか一部分にSM1(50μm)の深部浸潤を認めており、リンパ管侵襲は陰性であったが静脈侵襲を認めていた(v1)。食道癌治療ガイドラインに則り外科的切除として食道亜全摘、3領域リンパ節廓清術を追加した。切除標本には残存病変は認められずリンパ節転移も陰性でありpStageI(T1bN0M0)の最終診断となった。術後の経過は良好であり現在無再発生存中である。食道腺扁平上皮癌は非常に稀であり全食道癌の0.5~0.6%とされている。病理学的には扁平上皮癌成分と腺癌成分がそれぞれ20%以上存在すると定義されている。腺癌細胞が混在することから放射線療法に抵抗を示すとされているが、扁平上皮癌に比較し予後は比較的良いとの報告がある。生検での診断は非常に困難とされており本症例においても術前の生検ではSCCであったがESDを施行したことによりASCが証明することができ、その後の治療の選択に寄与したものと考えられる。
索引用語 食道腺扁平上皮癌, 内視鏡的粘膜下層剥離術