セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 019:

肺癌縦隔リンパ節転移による食道狭窄および内視鏡による食道穿孔に対して食道ステントを留置した一例

演者 沼田 泰尚(帯広協会病院 消化器科)
共同演者 林 優希(帯広協会病院 消化器科), 仲地 耕平(帯広協会病院 消化器科), 高村 毅典(帯広協会病院 消化器科)
抄録 食道癌による食道狭窄のため経口摂取が困難な症例に対しては、QOLの改善を目的とした姑息的治療として、食道ステント挿入術が行われる。肺癌及びリンパ節の食道浸潤・圧排によって食道狭窄や瘻孔形成となった症例に対しても食道ステント留置が考慮されるが、こうした症例の報告は少ない。今回我々は、肺癌縦隔リンパ節転移による食道狭窄および内視鏡による食道穿孔対をきたした症例に対し、食道ステントを留置することで経口摂取を維持した症例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。【症例】85歳、男性【既往歴】83歳で左肺扁平上皮癌に対し左肺下葉切除術施行(T2aN1M0, StageIIA)【経過】腹痛を主訴に当科を受診し、CT、MRCPで総胆管に結石を認めた。内視鏡的結石除去術を試みたが、食道内でスコープの通過に抵抗を感じたため施術を中断した。CTを撮影したところ、気管分岐部の縦隔リンパ節腫大を認め、肺癌縦隔リンパ節再発による食道への浸潤と圧排が考えられた。また、CTでは右肺気胸も認め、食道造影では胸腔への造影剤の漏洩を認め、食道穿孔をきたしていた。絶食補液管理で縦隔炎は生じなかったが、後日、胸腔への食残漏洩防止と食道閉塞予防目的に食道ステントを留置することとした。穿孔部位を含む狭窄部位にカバードタイプの食道ステントを留置した。術後は食事がとれ、炎症所見も認めず経過していた。しかし2か月後に通過障害をきたした。内視鏡では留置されている食道ステントの遠位側の食道内に食物残渣の貯留を認めた。同部位の圧排により食道閉塞をきたしていると考えられた。そこで、新たに逆流防止弁付き食道ステントを、留置している食道ステントの遠位側から噴門を超える位置まで挿入した。その後は永眠される直前までの4か月間、通過障害をきたすことはなく食事摂取可能であった。
索引用語 食道ステント, 食道穿孔