共同演者 |
松本 譲(北海道大学 消化器外科学分野II), 佐藤 暢人(北海道大学 消化器外科学分野II), 倉島 庸(北海道大学 消化器外科学分野II), 村上 壮一(北海道大学 消化器外科学分野II), 田本 英司(北海道大学 消化器外科学分野II), 海老原 裕磨(北海道大学 消化器外科学分野II), 中村 透(北海道大学 消化器外科学分野II), 土川 貴裕(北海道大学 消化器外科学分野II), 岡村 圭祐(北海道大学 消化器外科学分野II), 七戸 俊明(北海道大学 消化器外科学分野II), 平野 聡(北海道大学 消化器外科学分野II), 江藤 和範(苫小牧市立病院 消化器内科), 佐藤 大介(北海道大学 消化器外科学分野IIDELIMITER北海道大学病院 病理部), 三橋 智子(北海道大学病院 病理部) |
抄録 |
【緒言】神経内分泌腫瘍は,2010年の新WHO分類で消化管・胆嚢肝外胆管ともに神経内分泌腫瘍 (neuroendocrine tumor : NET ), 神経内分泌癌 (neuroendocrine carcinoma : NEC), 混合型腺内分泌癌 (mixed adenoneuroendocrine carcinoma : MANEC) に大別された.医学中央雑誌による検索で胆管原発NETおよび小細胞癌は37例認めたが,そのうち肝門部胆管原発は2例のみであった.今回,肝門部胆管原発NET (G2) の1例を経験した.【症例】症例は67歳,女性.尿濃染,上腹部不快感が出現,画像所見より肝門部胆管癌が疑われた.胆管生検でAE1/AE3 陽性,synaptophisin陽性でありNECが疑われ,当院紹介となった.精査にてBrcs, 乳頭膨張型,S0, Hinf0, Panc0, Du0, Ginf0, PV0, A0, T1, N0, H0, P0, M(-), cStageIと診断.右葉切除+肝外胆管切除術の適応であったが,肝予備能が低下しており、脳梗塞の既往を有したため姑息手術を選択し,肝S1・S4切除+肝外胆管切除術を施行した.手術時間は13時間26分,出血量は2000mlであった.病理組織学的には,Ki-67標識率17%,核分裂像は5.2/10HPFでありNET (G2), int, INFβ, ly2, v3, pn2, se, pHinf1a, pH1, pGinf0, Panc0, DU0, pPV0, pA0, pN1, pT3, pH1, fStage IVb, D0, pHM0, pDM0, pEM2, fCurCの診断であった.術後は一部肝外側区の梗塞を認めたが,術後27日目に退院した.術後補助化学療法を開始したが多発肝転移を来たし、術後7ヶ月現在,化学療法を施行中である.【結語】他臓器原発のNET同様、胆管原発NETも切除が第一選択と考えられるが、転移・再発例に対する治療法など、今後、症例の集積とともに治療法の確立が望まれる. |