セッション情報 一般演題

タイトル 059:

成人の肥厚性幽門狭窄症の一例

演者 芦立 嘉智(恵佑会札幌病院 外科)
共同演者 西田 靖仙(恵佑会札幌病院 外科), 武内 利直(恵佑会札幌病院 病理診断科), 米森 敦也(北海道大学消化器外科II), 三橋 洋介(恵佑会札幌病院 外科), 坂下 啓太(恵佑会札幌病院 外科), 那須 裕也(恵佑会札幌病院 外科DELIMITER北海道大学消化器外科II), 澄川 宗祐(恵佑会札幌病院 外科), 吉川 智宏(恵佑会札幌病院 外科), 木之下 義宏(恵佑会札幌病院 外科), 久須美 貴哉(恵佑会札幌病院 外科), 細川 正夫(恵佑会札幌病院 外科)
抄録 症例は49歳男性。繰り返す嘔吐を主訴に受診した。上部消化管内視鏡では噴門下から幽門部に不整形の潰瘍性病変を認め、幽門部で強い狭窄を認めた。狭窄部位を生検したが悪性所見を認めなかった。腹部造影CTでも胃壁に腫瘍を思わせる壁肥厚なく、所属リンパ節の腫大も認めなかった。血液検査でも腫瘍マーカー含め、特記事項を認めなかった。悪性疾患の可能性も否定できないこと、通過障害が強いことから、手術適応となった。手術は胃全摘術を施行した。術中、狭窄部から胃壁全層を切除し、迅速病理に提出し、悪性所見のないことを確認した。術後経過は良好で、19病日に退院となった。病理組織学的検査では、狭窄の強い部位では、固有筋層、特に内輪筋層を中心とした高度な肥厚が目立ち、腫瘍性異型を認めず、免疫染色でも癌を示唆する所見を認めなかった。以上から成人の肥厚性幽門狭窄症と診断した。成人の肥厚性幽門狭窄症は乳児に見られるような幽門輪の肥厚と狭窄が成人にも見られる場合をいうが、その頻度はきわめてまれである。症例報告も、本邦では数例しか報告されていない。診断は潰瘍や癌などとの鑑別が問題となるが、稀な疾患であるため、術前診断は困難である。病理組織学的には内輪筋層の肥大、過形成が特徴的である。今回、非常に稀な成人の肥厚性幽門狭窄症を経験したので、文献的考察も含めて報告する。
索引用語 肥厚性幽門狭窄症, 成人