セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | 127:肝粘液性嚢胞性腫瘍(mucinous cystic neoplasm of the liver)の1切除例 |
演者 | 巽 亮二(札幌東徳洲会病院 消化器センター) |
共同演者 | 網塚 久人(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 松原 悠(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 好崎 浩司(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 坂本 淳(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 佐藤 龍(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 木村 圭介(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 太田 智之(札幌東徳洲会病院 消化器センター) |
抄録 | 症例は70歳代、女性。2013年7月に心窩部の違和感を自覚したために当院を受診した。上部消化管内視鏡検査では異常所見を認めず、腹部超音波検査にて肝S4に径30mm大の嚢胞性病変を認めた。腹部造影CTでは内部に隔壁状の構造をもつ多房性嚢胞性病変を認め、辺縁に石灰化が存在した。嚢胞内には充実性成分は認めなかった。また、十二指腸水平脚に10mm大の腫瘤を認めた。MRCPにて肝腫瘤はB4を圧排しているものの、胆管との明らかな連続性はなく、肝内胆管の拡張は認めなかった。血液学的検査では、腫瘍マーカー、エキノコッカス抗体は陰性であった。肝腫瘤は腫瘍性嚢胞が疑われたために9月に肝左葉切除を行った。十二指腸腫瘤は腹部造影CTにて強い造影効果があり、壁外性発育を認めることから、消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST)を疑い、十二指腸部分切除を行った。肝腫瘤は多房性であり、粘液の存在を認めた。胆管との交通は明らかでなかった。病理組織学的に嚢胞は粘液産生上皮で覆われており、壁内には卵巣様間質を認めた。また、嚢胞内には胆汁は認めなかったが、嚢胞壁内に微小の胆汁が存在した。以上より、肝粘液性嚢胞性腫瘍(Mucinous cystic neoplasm:MCN of the liver)と診断した。また、十二指腸腫瘤はKIT陽性でありGISTと診断した。術後大きな問題なく経過し、現在も再発は認めず経過観察中である。2010年のWHO分類において肝胆道領域での乳頭状病変と嚢胞状病変の整理と定義がなされた。肝MCNは粘液産生性の上皮細胞で嚢胞が裏打ちされ、嚢胞壁内には卵巣様間質を認めることが特徴であり、通常は胆管との交通は認めないとされている。本症例は病変と胆管との明らかな交通は認めなかったが、嚢胞壁内に微少ではあるが胆汁の存在を認めた。一部の症例では、胆管との交通を認めた報告があるが、本症例はその過程をみていた可能性を思わせた。肝MCNの1切除例を経験したので報告する。 |
索引用語 | MCN, 卵巣様間質 |