セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 043:

Carboplatin+paclitaxel療法が有効であった虫垂原発粘液嚢胞腺癌・癌性腹膜炎の1例

演者 我妻 康平(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
共同演者 小野寺 馨(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 明石 浩史(済生会小樽病院 内科), 孫 誠一(済生会小樽病院 外科), 赤保内 正和(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 石黒 一也(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 東出 侑子(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 平山 大輔(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 福田 昂一郎(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 一色 裕之(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 村上 佳世(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 山本 英一郎(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 能正 勝彦(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 水越 常徳(済生会小樽病院 内科), 山下 健太郎(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 有村 佳昭(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 長谷川 匡(札幌医科大学 病理部), 篠村 恭久(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
抄録 【症例】症例は60歳,男性.既往歴は57歳時に急性虫垂炎(保存的治療).2013年4月より腹部膨満,食欲不振,体重減少(1ヵ月で8kg減)が出現.2013年5月に前医を受診したところCT検査にて大量腹水と腹膜の肥厚を指摘され,癌性腹膜炎が疑われた.上・下部消化管内視鏡検査,FDG-PET検査が施行されるも原発巣は特定できず,腹水細胞診はclass IIIであった.2013年6月に腹腔鏡検査が施行され,腹膜に白色調の播種結節を多数認めたが原発巣となりえる病変は認めず,播種結節からの生検組織にて粘液癌と診断された.2013年7月,さらなる精査加療目的に当科紹介となったが,前医精査期間中にさらなる体重減少(3ヵ月で22kg減),Performance Statusの低下(1 → 2)を認め,CT検査では腹膜の肥厚が悪化しomental cakeの像を呈していた.前医にて十分な画像検索が行われており組織学的にも粘液癌が確認されていること,病状進行に伴い全身状態の悪化がみられており治療開始が急がれる状況と判断し,さらなる検査は行わずに原発不明癌・予後不良グループとしてcarboplatin+paclitaxel療法(carboplatin:AUC=5,paclitaxel:175mg/m2,各3週毎投与)による全身化学療法を開始した.治療開始するとともに腹膜生検組織を免疫染色も含めて再検討したところ,虫垂原発の粘液嚢胞腺癌と考えられた.carboplatin+paclitaxel療法1コース後には腹部膨満・食欲・PSの改善がみられたため,同療法が有効と判断し治療継続の方針とした.有害事象として好中球数減少,末梢性感覚ニューロパチーなどがみられているが支持療法や減量・休薬にて対応可能であり,4コース後(2013年10月)のCT検査では腹水がほぼ消失,腹膜の肥厚も改善している.【考察】虫垂癌はまれな疾患であり,遠隔転移例に対する全身化学療法としては大腸癌に準じた治療が一般的に行われているが,現在のところ標準治療は定まっていない.稀少疾患においては症例の蓄積が今後の治療方針の確立に重要と考え,carboplatin+paclitaxel療法が有効であった虫垂原発粘液嚢胞腺癌・癌性腹膜炎の1例を報告する.
索引用語 虫垂癌, carboplatin+paclitaxel療法