セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 020:

早期胃癌ESD症例における多発胃癌の検討

演者 皆川 武慶(斗南病院 消化器内科)
共同演者 住吉 徹哉(斗南病院 消化器内科), 藤井 亮爾(斗南病院 消化器内科), 藤江 慎也(斗南病院 消化器内科), 土井 綾子(斗南病院 消化器内科), 木村 朋広(斗南病院 消化器内科), 庵原 秀之(斗南病院 消化器内科), 由崎 直人(斗南病院 消化器内科), 平山 眞章(斗南病院 消化器内科), 近藤 仁(斗南病院 消化器内科)
抄録 【目的】早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の普及により胃の温存が可能となった一方で、ESD症例おける多発胃癌の診断と治療は重要な課題である。今回われわれは早期胃癌ESD症例に発生した多発胃癌につき検討を行ったので報告する。
【対象・方法】2004年7月から2013年11月の間、当院でESDを施行した早期胃癌865症例1112病変のうち、残胃、胃管、遺残再発症例を除き、当院の上部消化管内視鏡検査で1年以上の経過を追えた初発早期胃癌357症例453病変を対象とし、多発胃癌の頻度とそのリスクファクターおよび異時性胃癌の臨床病理学的特徴について検討を行った。なお、ESD後の上部消化管内視鏡検査は治療3ヶ月後、以後1年毎に施行し、初回ESDより1年以内に発見されたものを同時性、1年以降に発見されたものを異時性と定義した。
【結果】多発胃癌を74例(20.7%)に認め、同時性胃癌は44例(12.3%)、異時性胃癌は37例(10.4%)であった(同時性・異時性の重複症例あり)。また、初回ESDから異時性胃癌発生までの中央値は1200日(366-2844日)であった。多発胃癌のリスクファクターにつき、年齢、性別、腫瘍径、肉眼型、組織型、深達度、胃粘膜萎縮度(木村・竹本分類)に有意差を認めなかったが、多発胃癌症例では初発病変の局在がM領域に有意に多かった。異時性胃癌の内訳は、局在(U/M/L):6/14/24、平均腫瘍径:12.72 mm、肉眼型(0-I/0-IIa/0-IIa+IIc/0-IIb/0-IIc):1/9/1/1/32、UL(+/-):1/43、組織型(pap/tub1/tub2/por/sig):0/33/11/0/0、深達度(M/SM1/SM2):38/4/2であった。なお、治療には全てESDが選択されたが、非治癒症例は深達度pSM2の2例のみであり、治癒切除率は94.6%(35/37)であった。
【結語】早期胃癌ESD症例では同時性・異時性を含め20.7%に多発胃癌を認め、術前、術後の内視鏡検査においては詳細な内視鏡観察が重要である。また、異時性胃癌ではほとんどの症例でESDによる治癒切除が得られており、当院における早期胃癌ESD後のサーベイランス期間は妥当であると考えられた。
索引用語 ESD, 多発胃癌