セッション情報 一般演題

タイトル 045:

下咽頭に発生したlymphoepithelial polyp(仮称)の一例

演者 吉田 武史(北海道大学大学院 消化器内科学)
共同演者 清水 勇一(北海道大学大学院 消化器内科学), 高橋 正和(北海道大学大学院 消化器内科学), 大野 正芳(北海道大学大学院 消化器内科学), 大森 沙織(北海道大学大学院 消化器内科学), 松本 美櫻(北海道大学大学院 消化器内科学), 小野 尚子(北海道大学病院 光学医療診療部), 中川 学(中川胃腸科), 森 康明(北海道大学大学院 消化器内科学), 中川 宗一(中川胃腸科), 間部 克裕(北海道大学病院 光学医療診療部), 加藤 元嗣(北海道大学病院 光学医療診療部), 坂本 直哉(北海道大学大学院 消化器内科学), 本間 明宏(北海道大学大学院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
抄録  症例は70歳代の男性.健診目的に前医にて施行した上部消化管内視鏡検査(EGD)で,下咽頭に隆起性病変を指摘され,当院耳鼻咽喉科を受診.耳鼻咽喉ビデオスコープにて左梨状陥凹と右梨状陥凹にも腫瘤を指摘された.精査のため,当科にもコンサルトがあり,外来にて施行されたEGDでは,左梨状陥凹の被裂側に5mmほどの隆起を認めた.隆起は表面平滑でやや黄色調のY-IIIポリープとして認識された. NBI拡大観察では,IPCL無血管野の所々に樹枝状の血管を認め,粘膜下腫瘍様の形態を呈していた.また右梨状陥凹の被裂側にも同様の病変を認めた. 左下咽頭の病変に対し,EGD下に生検を行い,病理組織検査結果は,異型のない重層扁平上皮内に高度の炎症細胞浸潤が認められ,間質には異型のない小型リンパ球主体に見られ,でリンパ濾胞の形成も認められた.一部形質細胞や好中球による高度炎症細胞浸潤を伴い,血管内皮細胞の腫大した毛細血管の増生も伴う肉芽組織の形成を認め,lymphoepithelial polyp(仮称)と診断された.当科での半年後のフォローアップEGDでは病変は著変なく経過している. 今回我々が経験したlymphoepithelial polyp(仮称)は,形態的に0-I型下咽頭癌や咽喉頭嚢胞などの疾患と鑑別が必要であり,診断が困難な症例に関しては,時に耳鼻咽喉科と連携して内視鏡医がその診断に携わる場合もある.今回,EGDにて診断が確定し得た一例を経験したので,若干の文献的考察も含めて報告する.
索引用語 lymphoepithelial polyp, 下咽頭SMT