セッション情報 合同ワークショップ「消化器疾患における診断治療困難例への対処」

タイトル 100:

当科での術後再建腸管を有する胆膵疾患に対する、ダブルバルーン内視鏡を用いたERCP(DBE-ERCP)の検討

演者 成瀬 宏仁(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科)
共同演者 山梨 香菜(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 木下 賢治(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 山本 桂子(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 大和 弘明(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 小川 浩司(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 畑中 一映(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 山本 義也(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科)
抄録 【はじめに】これまで、術後再建腸管を有する胆膵疾患への内視鏡的アプローチは極めて困難であった。その理由として、1再建部より盲端側への内視鏡挿入困難(挿入角度が鋭角なステッキ現象)、2吻合部より盲端部へ至る過程における、長距離、屈曲、術後癒着等より生じる到達困難、3乳頭を正面視しての位置どりや、挿管手技の困難さ、4内視鏡鉗子口径に起因する使用デバイスの制限等が挙げられる。また、難易度は、再建術式により大きく影響されてきた。【目的】当科での、これまでの術後再建腸管を有する胆膵疾患に対するDBE-ERCPの成績を検証し、問題点を考察する。検討項目は、盲端到達率、胆管挿管率、所要時間、偶発症とした。【対象】2008.3月~2013.10月までに、当科でDB-ERCPを施行した48例。先行手術術式内訳は、Roux-en-Y再建(正常乳頭症例)18例、Roux-en-Y再建(胆管空腸吻合例)10例Bil-2再建10例、PD15例、PPPD5例。【使用機材】EC-450BI5(富士フィルム社製)【成績】盲端到達率、盲端到達症例の胆管挿管成功率、最終的胆管挿管成功率は、DBE-ERCP全体で68.8%/78.8%/54.2%であった。手術術式別では、Roux-en-Y再建全体で、57.1%/68.8%/39.3%、Roux-en-Y再建(正常乳頭症例)55.6%/50.5%/27.8%、Roux-en-Y再建(胆管空腸吻合例)60%/100%/60%、Bil-2再建100%/90%/90%、PD60.0%/100%/60.0%、PPPD80%/100%/80%であった。盲端到達所要平均時間Roux-en-Y再建全体で36分、Roux-en-Y再建(正常乳頭症例)39分、Roux-en-Y再建(胆管空腸吻合例)25分、Bil-2再建25分、PD57分、PPPD27分であった。検査目的は、胆道精査36例中胆管アプローチ可能は20例(56.0%)、膵管精査9例中膵管アプローチ可能は4例(44.4%)であった。偶発症は、Bil-2再建症例で、胃癌局所再発例で十二指腸乳頭部体側の穿孔、ERCP後急性膵炎を各1例認めた。【結語】従来と比較し、DBE-ERCPによる術後再建腸管を有する胆膵疾患へのアプローチは可能となってはきたが、予定手技の完遂は50%程度に留まり、一層の手技の熟練と、専用器材の開発が望まれる。
索引用語 ダブルバルーン内視鏡, ERCP