セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 054:瘻孔形成食道癌症例の検討 |
演者 | 佐藤 康裕(国立病院機構 北海道がんセンター 消化器内科) |
共同演者 | 久保 智洋(国立病院機構 北海道がんセンター 消化器内科), 中村 とき子(国立病院機構 北海道がんセンター 消化器内科), 佐川 保(国立病院機構 北海道がんセンター 消化器内科), 藤川 幸司(国立病院機構 北海道がんセンター 消化器内科), 高橋 康雄(国立病院機構 北海道がんセンター 消化器内科) |
抄録 | 【背景】食道癌では5-15%に瘻孔を合併すると報告されており、気管瘻、気管支瘻、縦隔瘻の3形態がある。瘻孔を合併した食道癌に対する放射線療法(RT)は瘻孔拡大を助長するため禁忌と考えられていたが、RTによる予後の改善や瘻孔閉鎖効果なども報告され、現在では積極的に行うべきとする意見もある。実臨床においては無症状から急速に致死的となる症例まで幅があり、明確な指針を確立することは難しいと考えられる。【目的】瘻孔を合併した食道癌に対する治療、転帰を解析し、瘻孔形成後の治療として(化学)放射線療法が可能な条件を検討する。【対象と方法】2002年から2013年までに当院で診療した食道癌437例のうち、放射線治療前・中に瘻孔を形成した食道癌14例を対象とする。放射線治療終了後の瘻孔形成はより高率であるが今回の検討には含めない。【結果】患者背景は年齢中央値72歳、男/女:12/2例、壁深達度T3/4:6/8例、臨床病期III/IVA/IVB:5/4/5例であった。治療はCRT/RT単独/stent+BSC:10/3/1例、瘻孔形成時期はRT前/中:6/8例、形態は気管支瘻/縦隔瘻:8/6例であった。14例全体のRT完遂率は61.5%、瘻孔閉鎖率は57.1%、生存期間中央値(MST) 9.3 Mであった。MSTは病期別でIII/IVA/IVB:11.7/6.1/16.6 M、治療後の瘻孔閉鎖症例ではMST 11.7 Mに対し、開存症例は(ステントで閉鎖した症例も含め)3.0 Mであった。RT中の治療関連死が2例あり、瘻孔診断が遅れ感染症状が持続したまま照射を継続していた。瘻孔形態については気管支瘻が閉鎖率44.4%、MST 7.8 Mに対し、縦隔瘻は閉鎖率80.0%、MST 22.9 Mと良好であった。また、食道造影で造影剤漏出が明らかでない症例は閉鎖率100%、MST 16.6 Mと比較的良好であったのに対し、漏出のある症例は閉鎖率16.7%、MST 3.0 Mときわめて治療成績が不良であった。【結語】瘻孔形成食道癌の予後は病期よりも瘻孔の状態に依存すると考えられる。(化学)放射線療法(継続)適応の条件として、感染の沈静化や顕性漏出がないことが考えられる。また瘻孔形態は縦隔瘻が気管支瘻より治療成績が良い傾向にあった。 |
索引用語 | 食道癌, 瘻孔 |