セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 138:

S-1+CDDP療法による化学療法中に出血を伴う可逆性白質脳症症候群を発症した進行胃癌の一例

演者 佐藤 恵輔(町立中標津病院)
共同演者 久野木 健仁(町立中標津病院), 岡田 哲弘(町立中標津病院), 久保 光司(町立中標津病院)
抄録 【症例】50歳代女性【既往歴】特記事項なし【病歴・経過】2013年3月に倦怠感を主訴に当科初診。精査の結果進行胃癌(LM、Circ、Type2、por、cT4aN3M1 PER、cStageIV)と診断し、同年4月よりS-1+CDDP療法による化学療法を開始した。2コース目開始後35日目に強い頭痛を訴え、安静としていたところ左上下肢の脱力と意識障害・痙攣が出現した。頭部単純CT画像では明らかな異常は認められなかったが、頭部MRI・FLAIR画像では両側後頭葉・頭頂葉に多発する高信号域を認めた。入院し対処療法を行い頭痛・脱力は軽快、痙攣も出現しなかった。入院3日目に再度強い頭痛を訴えたため、頭部単純CT画像を撮影したところ脳出血を認め、他院の脳神経外科へ転院となった。転院先にて再度脳出血・硬膜下出血をきたしたが、保存的加療にて病状が安定したため、1か月後に当科へ再転科となった。当科転科時には視野障害のみ残存していた。転科後のMRI・FLAIR画像では当初認められていた高信号域は消失しており、経過から可逆性白質脳症症候群と診断した。その後は痙攣・脳出血の再発なく経過しており、薬剤を変更し現在も化学療法を継続している。【考察】可逆性白質脳症症候群は頭痛・意識障害・痙攣などの神経症状をきたし、画像上大脳半球白質を中心に浮腫性の変化を認め、これらの症状・画像所見が可逆的である疾患群である。薬剤の副作用として発症することが知られており、CDDPやS-1を含む5-FU系抗腫瘍薬が原因と考えられる症例も報告されている。S-1+CDDP療法中に発症した可逆性白質脳症症候群の報告は少ないが、両者ともに使用頻度の高い薬剤であり、治療による副作用の一つとしてその危険性も念頭におく必要があると考えられた。
索引用語 可逆性白質脳症症候群, S-1+CDDP療法