セッション情報 一般演題

タイトル 015:

胆嚢癌疑い例に対する経乳頭的胆嚢胆汁細胞診の検討

演者 松森 友昭(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
共同演者 真口 宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 高橋 邦幸(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 潟沼 朗生(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 小山内 学(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 矢根 圭(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 金 俊文(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 高木 亮(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 松本 和幸(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 権 勉成(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 友成 暁子(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
抄録 【目的】経乳頭的胆嚢胆汁細胞診の成績を検討し、有用性と問題点を明らかにする。【対象と方法】2013年11月までにENGBDを試みた373例中、胆嚢胆汁細胞診を目的としたのは109例(29.2%)であり、その中で外科的切除を行った77例を対象とした。内訳は胆嚢癌20(fStage I/II/III/IVa/IVb 4/5/6/2/3)、胆嚢腺腫3、慢性胆嚢炎45、胆嚢腺筋腫症5、黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC)2、胆嚢粘膜過形成1、過形成性ポリープ1。尚、当センターにおける胆嚢胆汁細胞診の施行基準は胆嚢の壁肥厚や隆起性病変を認め胆嚢癌を疑う例である。細胞診検体の採取法は5Fr pig tail ENGBDチューブより1回目は留置時に採取し、2回目以降は生理食塩水20-100mlにて洗浄後に吸引採取している。本検討では細胞診の評価に際し腺癌、あるいは腺癌を強く疑うものを陽性とした。【検討項目】1)ENGBDの手技成功率、2)手技不成功の理由、3)偶発症、4)細胞診の成績。【結果】1)手技成功率は90.9%(70/77)、総処置時間中央値は23分(8-65)、胆嚢管へのガイドワイヤ(GW)挿入から胆嚢内へのENGBDチューブ留置までに要した時間の中央値は15分(5-45)であった。2)不成功は7例(9.3%)であり、内訳はGWが胆嚢管に誘導できない6、GWは通過するがカテーテルが追従できない1、であった。3)偶発症は5.3%(4/75)にみられ、膵炎3(軽症2、中等症1)、胆嚢管損傷1で、いずれも保存的加療で改善した。4)細胞診施行回数中央値は3回(1-6)であった。細胞診の評価が可能な検体の採取率は1回目87.1%(61/70)、2回目89.4%(59/66)、3回目91.1%(41/45)、4回目87.5%(14/16)であった。胆嚢癌症例での手技成功率は80.0%(16/20)であり、16例中陽性10、陰性6であった。一方、偽陽性を3例(慢性胆嚢炎2、XGC1)に認め、細胞診の成績としては感度62.5%、特異度94.4%、正診率87.1%であった。【結論】胆嚢胆汁細胞診目的のENGBD成功率は高く比較的安全に施行可能である。細胞診の正診率は十分ではなく、質的診断には画像所見を加味した総合的な判断と治療法の選択を行う必要がある。今後、診断能の向上のため、採取法、検体採取後の処理法などを検討する必要がある。
索引用語 ENGBD, 細胞診