セッション情報 一般演題

タイトル 111:

局所進行膵癌に対する放射線治療施行例の検討

演者 大橋 広和(恵佑会第2病院 消化器内科)
共同演者 松本 岳士(恵佑会第2病院 消化器内科), 三橋 慧(恵佑会第2病院 消化器内科), 安孫子 怜史(恵佑会第2病院 消化器内科), 岡原 聡(恵佑会第2病院 消化器内科), 工平 美和子(恵佑会第2病院 消化器内科), 菅原 伸明(恵佑会第2病院 消化器内科), 小平 純一(恵佑会第2病院 消化器内科), 小池 容史(恵佑会第2病院 消化器内科), 高橋 宏明(恵佑会第2病院 消化器内科), 穂刈 格(恵佑会札幌病院 消化器内科), 塚越 洋元(恵佑会札幌病院 消化器内科), 明神 美弥子(恵佑会札幌病院 放射線科)
抄録 【背景】現在、切除不能局所進行膵癌に対する治療方針は、gemcitabine、S1の登場以降化学療法単独でも有効な治療成績が報告されており、放射線治療の位置づけはcontroversialである。【目的】切除不能局所進行膵癌に対する放射線治療施行例(化学療法併用例を含む)の予後につき検討を行い、その位置づけにつき考察する。【対象】2006年以降、当院において切除不能局所進行膵癌と診断し、放射線治療を施行した後の経過を追えた35例。男性23例、女性12例。年齢中央値は67歳(40~81歳)。放射線単独治療例は12例、化学放射線療法施行例は23例。併用した化学療法は、S1 14例、GEM 7例、5FU 2例であった。【結果】S1併用例のうち3例が有害事象のためS1を中止(食思不振、口内炎、白血球減少 各1例)、うち1例が白血球減少の遷延のため放射線治療も中止した。また1例が中間評価で肝転移を認め放射線治療を中止したが、その他の症例は予定された治療を完遂しえた。放射線単独治療群と化学放射線療法施行群で累積生存期間をKaplan-Meier法を用いて分析したところ、生存期間中央値は267日、343日(p=0.15)であり、Log-rank検定で有意差は認めないが、化学放射線療法施行群で生存期間が延長する傾向がみられた。現在有効とされているS1を併用した化学放射線療法に絞った場合でも、生存期間中央値は294日(p=0.30)と、有意差は認められなかった。【結論】今回の検討では、S1併用化学放射線療法群に生存例が多く含まれており、今後も経過を追い検討を重ねる必要があると考えられた。また、放射線単独治療は化学療法と比べ高齢者、他臓器疾患合併例などでも忍容性の高い治療法であり、また中には少数であるが長期生存例も存在することより、化学療法困難例への次善の策として選択肢に挙げられると考えられた。
索引用語 局所進行膵癌, 放射線治療