セッション情報 合同ワークショップ「消化器疾患における診断治療困難例への対処」

タイトル 069:

地方一般病院では従来治療困難であった早期胃癌への低侵襲治療の導入~ESD,腹腔鏡下胃切除術の成果と今後~

演者 阿部 暢彦(網走厚生病院 内科・消化器科)
共同演者 藤永 明(網走厚生病院 内科・消化器科), 内田 多久實(網走厚生病院 内科・消化器科), 小野寺 学(網走厚生病院 内科・消化器科), 川岸 直樹(網走厚生病院 内科・消化器科), 藤田 弘之(網走厚生病院 内科・消化器科), 松田 可奈(網走厚生病院 内科・消化器科), 長 いく弥(網走厚生病院 内科・消化器科), 西川 眞(網走厚生病院 外科), 下國 達志(網走厚生病院 外科), 葛西 弘規(網走厚生病院 外科), 巖築 慶一(網走厚生病院 外科)
抄録 【背景】当院は1市4町,人口約7万人の斜網地区の基幹病院であり,地域唯一の消化器専門施設である.近年ESDや腹腔鏡下胃切除術などの早期胃癌への低侵襲治療が発展し,施行施設が増えてきたが,地方一般病院への導入は達成されていなかった.当院では2011年度から積極的に胃癌への低侵襲治療を開始し,従来地方では治療が困難であった症例に治療してきた.【目的】斜網地区の基幹病院における早期胃癌への低侵襲治療の導入の現状と結果を報告し,地方での治療の意義を検討する事.【対象と方法】対象は2010年4月から2013年10月まで胃癌治療としてESDや手術が行われた197件で,治療内容と成績に関して後方視的に検討した.【結果】件数196(男性132,女性64)件,平均年齢71.5(43~91)歳,ESD100件,手術96件.(I)ESD結果●件数;2010年度16件,2011年度25件,2012-13年度59件.●一括完全切除率(%)/治癒切除率(%)/合併症;2010年度93.8/81.3/穿孔1,2011年度96.0/88.0/出血1,2012~13年度100/94.9/出血2.(II)手術結果●件数;2010年度41件,2011年度18件,2012~13年度37件.●病期(stageI/II-IV);2010年度(20/21)件,2011年度(10/8)件,2012~13年度(28/9)件.●腹腔鏡下胃切除率;2010年度0(0/41)%,2011年度27.8(5/18)%,2012~13年度67.6(25/37)%.【考案/結語】ESD件数は増加傾向で,治癒切除率も良好で,重大な合併症もなかった.手術に関しても腹腔鏡下手術が増加傾向であり,より低侵襲な治療が施行され,順調に経過している.地方病院で低侵襲手術を施行する最大のメリットは,地元で診断治療が完結し得,患者への利益が大きい事であった.今後も地方でも低侵襲治療を継続する必要があり,技術や治療成績の維持や向上を目標とした学習や術者の育成も含めた教育の継続が必要である.
索引用語 胃癌, 低侵襲治療