セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 031:

Dome-like phenotypeを呈した早期大腸癌の一例

演者 東出 侑子(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
共同演者 村上 佳世(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 平山 大輔(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 一色 裕之(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 小野寺 馨(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 山本 英一郎(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 能正 勝彦(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 山下 健太郎(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 有村 佳昭(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 篠村 恭久(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
抄録 Colorectal cancer with dome-like phenotypeあるいはDome-type carcinomaはJassらにより提唱された大腸癌の亜型で,高・中分化型腺癌から成る嚢胞状に拡張した腺管,腺管内部へのPAS陽性の好酸性物質貯留,そして間質への強いリンパ球浸潤を特徴とする.腸管関連リンパ組織(GALT)のM細胞由来と推定されているが,現在までの報告は20例以下であり詳細は不明である.今回我々はDome-type carcinomaと思われる症例を経験したので報告する.症例は70代男性. 糖尿病・高血圧で外来通院中であり8年前に横行結腸早期癌の手術歴がある.サーベイランスとして行った大腸内視鏡検査にて発赤陥凹を伴う径15mm大の隆起性病変を認めた.生検でGroup 5(tub1)と診断されSM浸潤癌の可能性を考えたが,患者の希望によりEMRを施行した.病理組織学的には強いリンパ球浸潤を伴う間質に拡張腺管が増生しており,tub1,type 0-IIa,pSM(1900mm),ly0,v0,med,INFa,pHMX,pVM0との診断であった.免疫組織学的に腫瘍細胞はMUC1陽性,MUC2・MUC5AC陰性であり,拡張腺管内にはPAS陽性・MUC1陽性物質を認めた.浸潤リンパ球はCD20+のB細胞が主体であった.EBER-1は陰性,マイクロサテライト不安定性も陰性であり,過去にDome-type carcinomaとして報告されている症例の病理学的・遺伝子的特徴に一致していた.協議の結果,追加腸切除は行わず現在まで経過観察としている.Dome-type carcinomaの臨床的特徴は未だ明らかでないが,報告例では粘膜下腫瘍の形態を呈する早期癌が多く,リンパ球浸潤が強い点からも良好な予後が期待される.遺伝子解析を追加し,文献的考察を加え報告する.
索引用語 Dome-type carcinoma, 大腸癌