セッション情報 合同ワークショップ「消化器疾患における診断治療困難例への対処」

タイトル W1-5:

胆・膵管狭窄部拡張困難例に対する新規内視鏡的アプローチ法-通電ダイレーターは安全なのか?

演者 河上 洋(北海道大学病院 消化器内科)
共同演者 桑谷 将城(北海道大学病院 消化器内科), 川久保 和道(北海道大学病院 消化器内科), 工藤 大樹(北海道大学病院 消化器内科), 阿部 容子(北海道大学病院 消化器内科), 久保 公利(北海道大学病院 消化器内科), 久保田 良政(北海道大学病院 消化器内科), 坂本 直哉(北海道大学病院 消化器内科)
抄録 【目的】経乳頭的な胆・膵管狭窄部拡張困難例に対する通電ダイレーターの臨床成績を明らかにすること.【方法】2011年4月から2013年3月までに,胆膵管狭窄部に対してドレナージ術を必要とした690例を対象に前向き観察研究を行った (UMIN000009932).通電ダイレーター(6Fr, Cysto-Gastro-Set; Endo-Flex Gmbh, Voerde, Germany)の使用適応は,ガイドワイヤーが狭窄部を通過後,1)標準型ERCPカテーテル,2)細径ERCPカテーテル,3)拡張用バルーンカテーテル,4)拡張用カテーテル,5)Soehendra stent retriever(Cook Japan 社製),により拡張困難であった例とした.22例(胆管:16例,主膵管:6例)を対象とした.高周波発生装置はESG-100(Olympus medical system 社製)を使用した.検討項目は,1)狭窄部拡張成功率,2)ドレナージ成功率,3)偶発症発生率とその内訳,とした.【結果】男女比6:5,平均年齢62歳(32~80歳),疾患は胆管狭窄16例(悪性腫瘍13例),主膵管狭窄は6例(アルコール性慢性膵炎6例)であった.症状は胆管狭窄7例が黄疸,主膵管狭窄5例で腹痛を有していた.1)通電ダイレーターは全例で狭窄部拡張が可能であった.2)全例で引き続く経乳頭的ドレナージ術が可能であり,経皮経肝的や超音波内視鏡アプローチ移行例はなかった.3)胆道狭窄では1例に胆道出血(急性閉塞性胆管炎併発)がみられた.内視鏡的経鼻胆道ドレナージ術への切り替えによる保存的治療により軽快した.主膵管狭窄の1例に急性膵炎(軽症)が認められた.胆・膵管穿孔や実質損傷などの重症合併症は認められなかった.【結論】胆・膵管狭窄部拡張困難例に対する通電ダイレーターは安全で有用であった.しかし,単施設,少数例の検討であり,今後は多施設共同研究による評価が望まれる.
索引用語 胆管狭窄, 膵管狭窄