セッション情報 一般演題

タイトル 075:

固形腫瘍に対する化学療法中にB型肝炎ウイルスの再活性化をきたし、de novo B型肝炎を発症した1例

演者 馬場 英(北海道社会保険病院 消化器病センター)
共同演者 古家 乾(北海道社会保険病院 消化器病センター), 小泉 忠志(北海道社会保険病院 消化器病センター), 定岡 邦昌(北海道社会保険病院 消化器病センター), 関谷 千尋(北海道社会保険病院 消化器病センター), 服部 淳夫(北海道社会保険病院 病理)
抄録 症例は70代男性.既往歴として高校生の頃に黄疸を伴う肝炎の既往有り.T4N2N0stageIVbの通常型膵癌に対して2013年7月よりGEM単独療法を施行されていた.1コース目のd15より食欲不振に対してデキサメサゾン1mg/日での内服が開始された.GEM単独療法3コース終了後の9月下旬に下痢と倦怠感が出現し,2013年10月初旬に全身脱力感と37.5℃の発熱にて再診し,AST/ALT373/333と急性肝障害を認めた.翌日朝から発熱の悪化と経口摂取不良のため入院となった.入院時AST/ALT636/575とさらに上昇しており,HBs抗原1.31IU/ml,HBs抗体陰性,HBc-IgM18.8S/CO,HBc抗体-CLIA6.49IU/ml,HBe抗原29.3S/CO,HBe抗体53.9%,HBV-DNA6.4LC/ml,遺伝子型Cであった.膵癌診断時(2013年7月)の血液検査ではHBs抗原陰性であった.肝生検ではA0F0で肝細胞の脱落が多く認められた.肝炎の既往歴があり,以前にHBs抗体,HBc抗体は未測定であったが,B型肝炎ウイルスの再活性化によるde novo B型肝炎と考えた.診断日よりETV 1mgの内服を開始し,AST、ALT、PTはともに約1ヶ月の経過で正常化し,現在外来で膵癌に対する化学療法を継続中である.血液系悪性腫瘍では再活性化の頻度が高くガイドラインにより重要性が周知されているが,固形腫瘍に対する化学療法時の再活性化に関してはよくわかっていない.今回固形腫瘍に対する化学療法中にB型肝炎ウイルスの再活性化が起こり,de novo B型肝炎を発症した1例を経験したので報告する.
索引用語 B型肝炎, 化学療法