セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 121:

反復性急性膵炎を契機に診断したLPL欠損症の一例

演者 石上 敬介(市立室蘭総合病院 消化器内科)
共同演者 金戸 宏行(市立室蘭総合病院 消化器内科), 飯田 智哉(市立室蘭総合病院 消化器内科), 佐々木 基(市立室蘭総合病院 消化器内科), 永縄 由美子(市立室蘭総合病院 消化器内科), 中垣 卓(市立室蘭総合病院 消化器内科), 佐藤 修司(市立室蘭総合病院 消化器内科), 清水 晴夫(市立室蘭総合病院 消化器内科)
抄録 急性膵炎は膵臓の急性炎症により上腹部痛などの症状を呈し,重篤化すると致死的疾患となる.急性膵炎のリスクファクターとしてアルコールや胆石,内視鏡治療,薬剤などに加えて高トリグリセリド血症が知られているが,急性膵炎全体に対する寄与率は明らかではない.血中トリグリセリド値が500mg/dL以上になるとカイロミクロンが出現してくるとされ,何らかの機転で膵リパーゼが活性化すると脂肪酸を急激に遊離し,高濃度の脂肪酸が細胞障害をきたし膵炎を発症すると考えられている.今回,著明な高トリグリセリド血症を伴う急性膵炎を契機に診断したLPL欠損症の一例を経験した.血中トリグリセリド高値を伴う急性膵炎は散見されるが,LPL欠損症を背景とした報告は稀であり,文献的考察を含めて報告する.症例は41歳男性.以前から検診で脂質異常症を指摘されていたが受診していなかった.2012年2月に上腹部痛を主訴に当院救急外来を受診され,重症急性膵炎の診断で当科入院となった.採血にてトリグリセリド 2108mg/dL,総コレステロール 406mg/dLと著明な上昇をみとめた.絶食・大量補液・蛋白分解酵素阻害薬投与などにより症状は改善し,高トリグリセリド血症に対する内服治療を開始して同年3月に退院となった.しかし,内服開始後もトリグリセリド 1000mg/dL以上の著明な上昇がみられ,急性膵炎による入院を繰り返した.脂質代謝異常を疑い精査したところ,LPL 30ng/mLと著明に低下しており,またアポリポ蛋白C-II 7.9mg/dLと保たれていた.以上より,家族性リポ蛋白リパーゼ欠損症と診断した.
索引用語 急性膵炎, LPL欠損症