セッション情報 | 合同ワークショップ「消化器疾患における診断治療困難例への対処」 |
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タイトル | 103:胆嚢壁肥厚を呈する病変の術前病理組織学的診断法 |
演者 | 羽場 真(NTT東日本札幌病院 消化器内科) |
共同演者 | 吉井 新二(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 川本 泰之(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 清水 佐知子(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 林 健児(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 横山 朗子(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 小西 和哉(NTT東日本札幌病院 外科), 宮坂 祐司(NTT東日本札幌病院 外科), 高桑 康成(NTT東日本札幌病院 臨床検査科), 赤倉 伸亮(NTT東日本札幌病院 消化器内科) |
抄録 | 胆嚢壁の肥厚を呈する病変には様々なものがあり,治療方針決定において組織学的診断は重要であるが,細胞診・組織診検体の採取が困難な場合も少なくない.今回,胆嚢壁肥厚を呈した患者に対してEUS-FNAが治療方針決定に有用であった症例を通して,胆嚢壁肥厚性病変の術前診断体系について考察する.【症例1】58歳男性.心窩部痛のため近医を受診し,胆嚢病変を疑われて当科紹介.US,CTで胆嚢頚部の結石と,頚部から底部にかけての壁肥厚を認めた.ENGBDチューブを留置して洗浄細胞診を複数回提出し,乳頭状増殖を示す異型細胞の集塊を認めたが癌の診断確定には至らなかった.EUSで胆嚢体部に不均一なエコー輝度を示す肥厚した壁が観察され,十二指腸球部より肥厚した胆嚢壁に対して22G針でEUS-FNAを施行した(3回穿刺).組織学的には低分化型腺癌の所見であった.SS以深への壁深達度を示す胆嚢癌と診断し,胆嚢摘出術+肝床切除+肝外胆管切除+D2廓清を行った.病理診断はSS浸潤を呈する低分化型腺癌で,治癒切除を得た.【症例2】68歳女性.尿の濃染と右季肋部痛のため近医を受診し,閉塞性黄疸の診断で当科紹介.US,CTで胆嚢頚部に結石を認め,頚部優位の胆嚢壁肥厚を伴い,肥厚した壁に押されるように上部胆管狭窄を呈していた.経乳頭的胆管生検およびENGBD洗浄細胞診のいずれも悪性所見はみられなかった.EUSでは胆嚢頚部に不均一なエコー輝度を示す壁肥厚がみられ,十二指腸球部より肥厚した胆嚢壁に対して22G針でEUS-FNAを施行した(3回穿刺) .同時に腫大した#12pリンパ節に対してもEUS-FNAを施行したが,いずれも悪性所見はみられず,胆嚢壁検体からは炎症性肉芽組織と泡沫細胞の集団を認めた.胆嚢頚部結石嵌頓による黄色肉芽腫性胆嚢炎+Mirrizi症候群(McSherry type I)と診断し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.病理組織学的には黄色肉芽腫やリンパ濾胞形成を伴う慢性炎症細胞浸潤を認めるのみで悪性所見はなかった. |
索引用語 | EUS-FNA, 胆嚢 |